オリンピック競技と惨事ストレスとレジリエンス


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惨事における心理面の対応に携わってきて、このブログでも書いてきている。

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惨事やそれへの対応というものを考えてもらっても、どうも敷居が高く、急いで自分に関係するものではないと感じる人が多い。
最近の世の中で起きた大事故や災害などによって、一般個人の関心や準備意識は高くなってはいるが、どうしても「大事であるのはわかっているが正直、日常生活を送るので精一杯だ」とか「専門家や資格のある人に教えてもらわないと実践は難しいだろう」とか言うように実際の行動に結びつかない。
まだまだ惨事を「自らとは遠くて縁がないもの」としか思えないのだろうがそうではない。

今年(2012年)のロンドンオリンピックでも惨事のヒントやイメージは数多く存在している。
惨事の定義にも依るのだが、我々は生命に関わるような事故やテロリズムのようなものでなくても、出来事を体験した者が惨事「反応」を起こすことを知っているし、それらの解釈・説明や対応を直接にしたりノウハウを教えたりすることをしてきている。

その文脈で言うと、以下のWeb上コラムなどで取り上げられている男子体操、内村航平選手の競技で起きた落下やその結果成績については、正に「惨事」として我々が扱ってきたことと違わない。

オリンピックメダリストにみる「しなやかな軌道修正力」 – 2012年8月24日 – 職場のメンタルヘルス・EAP・研修 ピースマインド・イープ株式会社

メダル級の演技をして結果を出すという期待とプレッシャーが、周囲からも自分自身からも極限まで高まっている状況での、落下やミスで内村選手に起きていたことはどういったことだったろうか。

ドキドキしたり、冷や汗をかいたり、頭が真っ白になってしまったり、競技が終わって次の行動や準備をしなくてはいけなくなってもミスやその嫌なイメージが浮かんでしまったり。
実際にどうだったのかは本人にしかわからないが、一部の感覚は内村選手本人も振り返ったりインタビューで答えていたりする通り、色々な身体的・心理的な反応が起きていたのだろう。
上に想像したような反応で、「ドキドキ」や「冷や汗」は過覚醒であり、「頭が真っ白」は麻痺・回避、「ミスしたイメージを思い浮かべてしまう」のは侵入だと言える。
すべて惨事に対する反応、ASR(急性ストレス反応)やASD(急性ストレス障害)としても矛盾しない。

オリンピック競技やスポーツでの競技者に起こることは誰にとっても特別なものではないことは理解できるだろう。
それらに参加しない人だって、日常生活の大事な場面で失敗をしたり(寝坊して大切な約束の時間に遅刻するとか)、仕事で期待された結果を出せなかったりすることはある。
そのときやその後に「ドキドキ」や「真っ白」、「忘れらない」という感覚や経験をするのは当然と言えるくらいのことだ。

惨事やそれへの自分の反応について知っておき、準備をしておいたり、いざというときに自分を少しでも客観的に観察したり、ショックな出来事の後にできることを考えたりするのはぜひに勧められることだ。
このように考えると最近の心理研究やビジネススキルアップなどの分野で取り上げられる「レジリエンス」というキーワードに加え、「惨事反応」やそのサポートというもののより有効なとらえ方が見えてくる。

2012-09-01 10:00

※筆者はピースマインド・イープ株式会社 http://www.peacemind-jeap.co.jp/ にて非常勤勤務している

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