裏メッセージとは何か、それをどう避けるか


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裏メッセージというのは、ある人が発した言葉や表した態度などによって、受け手が不快に感じたり、怒りを覚えたり、傷ついたりした場合に結果として判断される言動のことだ。これには、話し手などに「特に何かはっきりと伝えようと思ったことがあったわけではない。何の気なしに出た言葉」という場合もあるし、「まったく(裏メッセージとしてとられたような)そのような意図はなかった。むしろ良かれと思って言った」という場合もある。

いずれにしても両者の認識が異なっていて誤解が生じており、一方(通常はクライアント)が悲しさや腹立たしさというような気持ちになっている状態が生まれることになる。

裏メッセージがなぜ起こるかという背景になるのは「何を言うかではなく、誰が言うか」ということである。

先に書いたように、話し手は相手を傷つけようとか責めようという考えはないことが前提には確かにある。
とは言っても、厳しい指摘や非難、論理的とは言えないような理屈の強要であっても、聞き手が励まされたり、嬉しく思えたり、開き直る原動力になったりすることが世の中には実際ある。

内容ではなく「誰が言うか」が大事だというと、「自分は自分であって人格や立場を自由自在にクライアントに合わせて変えることなんかできない」とか「そもそも自分はそんなに立派な人間ではないから……」と思ってしまう人がいる。
「誰」というのはそれほど難しく、複雑なことは指していない。

話し手(クライアント)の状況や気持ちについて十分に知っているか。
知らないのであれば、まず十分に聞いてみようとしているか。
絶対量として、聞くこと、知ることに時間と労力を使ったか。
当然するべき質問を遠慮や自分の心理的ブロックによって尋ねそびれていないか。
こうしたことがメッセージを出すときの「誰」をクライアントから見て変化させる。

つまり、クライアントの話を聞いたり、状況や情報を教えてもらうことで、数分から数十分の時間の中でもクライアントから見たあなたの印象や立ち位置が変わるのだ。

あるメッセージを出して受け入れられないまでも、裏メッセージになることをなるべく避けるのには、自分の価値観を押し付けないことも重要だ。
いくら十分に相手の情報が頭に入ったとしてもそれが相手の持っている100%のものであるかやすべてが真実あるいは事実であるかはわからないものだ。
それなのに自分個人の考えや思うところの常識を唯一のもののように披露することは聞き手の価値観を否定することにつながり、裏メッセージとなりがちだ。

さらにこの傾向が強く熱心になると、心理カウンセリングなどではカウンセラーがクライアントの感じ方を変えるだとか、我慢するだとか、新しい行動をすることを提案し実行を約束させたり管理したりしようとすることにつながる。
結局、カウンセリングというものの基本原理から言えば、クライアントを変えることなどはできない。
クライアントが変わるようなサポートをしたり、カウンセラーや周囲との関係性にわずかに手を加えることくらいしかできないものだ。

こうして、裏メッセージがどのように生まれ、どうすることがその予防になるのかを色々と考えても実際の現場で決定打となるようなコツはない。
あれやこれやと練習したり、シミュレートしたりしても、裏か否かを決めるのは未だ見ぬ明日会うクライアントだからだ。

うつクライアントへの対応の場面として、一つ言うとすれば「うつクライアントはあらゆるメッセージを裏に取りやすい」ということを様々な形で理解しておかなくてはいけない。
同じ言葉や表情がうつの人にとっては、頭がうまく働かないことや自責、自分の存在価値の揺らぎ、不安などによって裏メッセージになってしまう。

裏メッセージが生まれてしまう原因の2割は説明不足だ。
頭がうまく働かない、誤解が生じやすいということをよくわかった上で、細かく反応や理解を確認したりするのが良い。
別に一度に流れよく話す必要はなく、随時付け足し、補足すればそれでも良い。

また、自責やクライアント自身の自己評価の低さなどを裏メッセージにつなげないためにはすでに述べたように時間と労力を省かずに費やして、十分にクライアントの状況や感じていることを知ることが要る。
これは「味方」になるということだ。
味方になる、ということはカウンセラーが「誰」であるかが変化していることを表してもいる。

2012-01-24 13:00

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