こころの動揺を意識的、あるいは無意識に隠して、柔和な表情を保ちながら対応、コミュニケーションをすることを「スマイルポーカーフェイス」と呼ぶことにしよう。
以前はそこここで、日本人の「アルカイック・スマイル」がやり玉にあげられてきたが、似たようなものだ。
一方、「ポーカーフェイス」は、手札の強弱や駆け引きを相手に読まれないように無表情を決めこむのを基本とした「メッセージを出さない」「読まれない」ためのコミュニケーション技術で、ポーカーゲーム以外の場面でもよく使われる言葉だ。
スマイルポーカーフェイスだが、質疑応答の場面で、演者や講師が「やってしまう」ことが多い。
もちろんほとんどの場合、悪意はない。
それどころか、質問者に対して、できるだけ好意的であろうとしての表情・メッセージコントロールなのだろう。
しかし、実際には質問の発言をしている間、演者などがうまくうなずきながらであっても、ずっと同じような微笑みをしていると、内容をきちんと受容しているというよりは、「私はあなたの疑問を全部わかっていますよ」「その質問は予想していたし、実は織り込み済みですよ」というメッセージが強くなりすぎることがある。
例え内心では、動揺していたり、適切な応答を必死に考え巡らせていたとしてもだ。
そう考えると、質疑応答のときの、受け手(演者、講師)が出すべきメッセージは「疑問・保留」や「(説明などの不備・不足を謝る)共感(的なもの)」などが適当なのかもしれない。
もちろん、今後色々な状況を考えてみなければいけないとは思う。
要は、今どきの講演や研修であれば、すべての質問に対して余裕で完璧な対応をしなくても良いのではないか、ということだ。
とりあえず、難しい質問には眉根を曇らせてもいい、痛いところを突かれたときには苦笑する、新たな視点がもらえたときには驚き、そして感謝する。
そういった、ある意味人間性というか、「発信者のすべて」をそのままさらけ出してしまうようなコミュニケーションが有効ではないだろうか。
特に、カウンセリングやメンタルヘルスをテーマにした場面では。
2012-04-18 08:00
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