心理臨床現場で使うツールの費用対効果を意識する


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うつのリハビリ期に職場に復帰するとき上司や同僚数名にカウンセラーと本人がサポートや理解をお願いするバスケット法や、ディブリーフィングのような惨事後のグループミーティングは、効果が高いという理解はありますが、実際にそれをマネジメントするとなると躊躇するかもしれません。

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これは、バスケット法やグループミーティングなどのツールを学びトレーニングすること、そして使うことの費用対効果を無意識に計算しているからでしょう。
人は日常から無意識に費用対効果、つまりコストパフォーマンスを考えながら行動しているのです。
それは何か高価なものを買うときや、就職や結婚などの重大な決断をするときなどでなければあまり意識されることはありません。

しかし、何かを学んで身につけようとするときなどはその価値を吟味しています。
時間やお金をかけたのにその講演や学校の授業などがつまらなかったり、理解できなかったり、現実の場で役に立たなそうだと感じるとたいていの人は腹が立ったり、不満を感じたりするでしょう。
これは、自分が支払ったエネルギーなどの価値と得たものの価値が釣り合っていないと思っているということです。

バスケット法やグループミーティングについて言えば、「かなり時間をかけて練習してもうまくできる自信が簡単には得られない」という感触がまず大きい。
そして、実際に現場でこれらを使うとすると、複数の人間を集めて彼らをある程度の時間、拘束するというコストも負担を感じる原因になります。
結果として、頭の理解としてはツールの価値は高くても、相対的にコストパフォーマンスが低くなるということになります。

これにより、結局は現場で、リハビリ期支援であれば複数人の同僚を集めるのではなく直接の上司一人だけに説明をしてお願いをしようとか、とりあえずクライアントが職場に戻ってみてその結果や印象を聞いて対応していこうという「カウンセラーにとっての」安全策を採りがちです。
グループミーティングについても、会合をうまく回せる自信がないから個別に会って通常の相談やカウンセリングをしようという「慣れた、結果の読みやすい」方向に流れやすくなります。
ツールは現場で使ってみなくては結局のところその効果や成果は絶対に確認できないはずなのですが。

この心理的なブロックを外すためには、費用対効果(コストパフォーマンス)に関係する要素を意識的に変えなくてはいけません。

一つにはツールについてより学ぶことです。
ツールの価値が高いことに確信が持てれば、それに時間やエネルギーを割いたり、クライアント、そして周囲の人を自信を持って巻き込むことができる可能性が高くなります。
しかし、これは上記したように事前の机上学習だけでは限界が早く来てぶっつけ本番やOJTに期待することになります。

もう一つは、できるだけ現場でツールを使うときのコストを低くすることです。
一番現実的にコントロールできるコストは時間です。
集団を巻き込むツールで一番意識するべきものは、初心者であればあるほど、まず結果ではなく時間です。
いくら効果が高くても単発のミーティングでは限界があります。
一方、時間を長く拘束されればされるほど、参加者やクライアントの疲労は増え、お得感はなくなります。
時間のコントロールについては、もちろん現場での不測事態対処や臨機応変が必要ですが、段取りなどで補うことができます。

カウンセリングや惨事後のミーティング、リハビリ期のサポートなど、その効果やコストは数字で簡単に表したり分析したりすることはできませんし、その必要はありません。
しかし、ツールやそれを扱う自分の負担感なを分析し、その費用対効果を客観的にとらえることは、力を注ぐべきタイミングや部分をあぶり出すことにつながりますし、スーパーバイズや助言を受けるのにも有効な考え方です。

2011-11-16 11:00

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