大規模災害の被災者に対して心理的支援をする際の準備知識

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印象だけで考えても、今回の東北関東大震災規模の災害の被災者や関係者は体験やグリーフが先々にトラブルの元になる可能性は高いと思われる。
その理由を述べる。

基礎的な知識として、同じような衝撃のイベントに出会ったとして、いわゆるPTSDのようなある一定基準上のトラブルにつながる可能性が高くなる要素は以下のようなものである。

  • 災害体験の前から、大きな疲労の蓄積があったり、うつ(またはそのリハビリ期)であったりする場合
  • 以前に、その災害に類似した危機を単回あるいは複数回繰り返し体験している場合(一見、経験の少ない若者の方がストレス耐性が低く思えるが、同じ種類の強いストレスに曝露したベテランが必ずしも「慣れる」、つまり「耐性を獲得する」とは言い切れない)

例えば今般の震災状況を見ても、被災者の多くに降り掛かったイベントは、生命の危険を感じたとか、家族と死別したとか、財産を失ったとかの単発・単純事象ではない。
(もちろん、それらは単独に、平時に起こったとしても、十分に精神的・社会的トラブルの原因となり得るレベルのものである)
安全やインフラを完全に奪われている。
人間の基本的欲求と称される、衣・食・住を確保できていない。
しかもそれらがすでに1週間以上続いている。
努力はなされているが、劇的に改善する希望や予感に乏しい。

このように、それ「だけ」でも極大な衝撃の出来事に加えて、身体的なストレスも同時かつ長期的に(繰り返し、継続して)かかっているとことである。
これは前述したようにトラウマ的イベントに曝されたことが、時間経過後にも適当な心理的処理がうまくされずに、トラブルが生じる要素が含まれているということになる。

そして、このことは支援者側にもほぼ同じように当てはまることにも注意したい。
むしろ、この知識や視点は支援者側に「のみ」、まずは持っていて欲しいものだと思っている。
やみくもにリスクの高さだけを指摘しても(そしてそれは一般の感覚としても漠然と認識している)意義は少ないからである。
ぜひ、支援者、当事者、関係者は、プロとしてあらゆる可能性を可能な限り扱いながら成果を挙げて欲しい。

2011-03-22 06:00

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