医療機関で働いていない医師が診断書を書くことは可能か

20120925074200

思考検証中のことを一つ。

産業医になったからというだけではないが、どうもまた、医師臨床に近い話をしたり調べたりしなくてはいけない機会が少なくない。
質問もされる。
答えるためには調べなくてはいけない。

今調べていることは、診断書に関してのこと。

勤務しているときには意識しないで診断書は作成しているものだ。

今現在の自分のように医療機関、組織に属していない状態で診断を書くというシチュエイションはありうるだろうか。
そして、その作成に問題や注意点はないのだろうか。

医師法を見ても「医師は求めがあった場合には診断書を作成しなくてはならない」としか定められていないようだ。

医師法 (第19条)

だが逆に、診断書を書いてはいけない状況というものが簡単には思い浮かばない。

考えている流れとしては、

診断書を書くためには「診断」をしなくてはならない
→ 診断をするためには「診察」しなくてはならない(無診療診断の禁止、医師法第20条)
→ 診察をして医療報酬を得るためには保険医療機関に勤務、もしくは開業して申請し、「保険医療」を行わなくてはいけない
→ 保険外医療というものもあるしまったく違法ではないがそれを診断および診断書を求める患者が了解するかという問題がある

ということで、診断書を書くことに明らかな問題は考えつかない。

また、別の点として、

医師は診療をしたならば診療録に記録をしなくてはならない(医師法、第24条)
→ 診療録は5年間保存しなくてはならない(同法同条2)
→ もしも医療機関に勤めていない医師が個人で診療録を書いた場合にそれを5年間保存するためにはコストがかかるしリスクもある
→ 診療録には個人情報も含まれるから取り扱いに手間がかかるな

と、考えながら調べているとどうも「5年間保存」というのは「病院または診療所に勤務する医師のした診療について」のみというような記載があった。(同じく同法同条2)
これならば、診療録の保存に関しては考慮しなくて良くなりそうだ。

そもそも「診断書」と言うもの自体も、法律上特に決まった書式というものはない。
どんな紙に書いても診断書としては成立するし、保険会社などが診査のために記載を求める書類も診断書と呼ばれる。

また、診断書を作成することは保険診療上の報酬に入らない。
言い値で発行することが可能だ。
一般には各医療機関などが常識的な値段設定をしていることがほとんどだろうが。

こうして、もしかしたら、フリーの医師が、必要だと言う患者に対して診断書を発行するということはあまり聞かないが、調べた限りでは明らかに制限する法や理由は見当たらない。
世の中には、診断書だけを書く(もちろん診療・診察がその前提にあるが)サービスというものは既に存在していたりするのだろうか。
診断書の信頼性という面では担保することが難しそうだし、気づいていない問題がありそうという印象だけど。

ここまで考えたし、Webで調べたりということまではしたので、あと次は経験豊富なドクターに聞いてみるか、厚生労働省に直接尋ねてみるかを検討。

2012-09-29 09:00

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