死にたいと言う人は自殺しないという誤解

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死にたいと口に出していっている人はかえって自殺しないものだ、という誤解がある。
「誤解」とは言うものの、もちろん死にたいと口にした人間が全員必ず自殺を実行しているわけはない。

現実には、死にたいと言っている人も言っていない(言わない、または言えない)人も、いずれにしても自殺を実行する確率は少ない。
実際に自殺が既遂または未遂のものとして起こったときに、おそらくその10倍から100倍くらいの人数が、「死にたい」「死にたくなる」くらい苦しさを抱えている。

「死にたい」くらい苦しくても、自殺という手段を取っていないのは、生き物としての「死」の恐怖がやはりそれだけ強烈だからだろう。
逆を言えば、大きなショックを受ける出来事、大災害などが近いタイミングで重なったり、連続したり、あるいはアルコールや薬物などの助けとすれば、この「死」に対する恐怖というハードルは下がる可能性がある。
これは運の要素、運命的なものと言うしかない部分がある。

死にたいという気持ちが極限まで高まっている人(その波は時間毎、日毎にも変化しているものなのだが)は、交差点のど真ん中をフラフラと歩いているようなものだ。
車が多ければ、はねられたり引かれたりして大怪我や死につながる。
たまたまそのときに交通量が少なければ、ぶつからないし、車のほうが上手く避けてくれることもある。
しかし、同じ状況が続いたならば、いつかは事故が起きるのは確率の問題だ。

死ぬ死ぬと言っている人がいつまでも死なないと、周りから見れば「本当のことを言っていない」「脅かしている」「気を引きたいだけじゃないのか」という風に思えてしまう。
しかし、可能性として短い期間では、死なないことの方が多いものなのだ。
ただ、先ほどの交差点の喩えと同じように、できるだけ早く適切に、少しでも安全な状態に移すサポートが必要だ。

2012-01-04 09:00

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