その人が悩んでいること自体を否定してはいけない


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クライアントが問題を問題ととらえていないことは普通によくあることだ。

ある外部の問題さえ解決すればすべてがうまくいく。
そんな風に考えていても、実はまずそもそもクライアントのエネルギーが不足していて世の中の危険や不具合が全部大きな問題に見える。
当然の報いや罰と考えていることもよくある。
そして日常生活を送っているだけでも疲弊していく。

家族のことであったり、部下のことであったり、仕事上のプロジェクトのことが問題であると感じていると、なかなか自分自身の状態や疲労に目が向かなくなる。
自分よりも苦しんでいると考えている相手を差し置いて自分がギブアップすることはできないとか、その仕事については逃げずにどうやってでも(自分が壊れてしまったとしても!)乗り越えなくてはいけない試練のように見えてしまっているのは常軌を逸しているのかもしれない。

そんなとき、カウンセリングでは教科書的には、クライアントが自分自身の体調や認知、考え方の傾向などに目が向くように仕向ける。
しかし、そうすることは「あなたの考え方はおかしい」「そのやり方は変えるべきだ」というメッセージになりうるから注意が必要だ。

注意というのは一つにはまず、十分に味方になってから提案をするということだ。
味方になっていればいるほど提案がうまくいく、あるいはクライアントに一考の余地があると受け取ってもらえるということ。
もう一つは、カウンセラーの方がその提案にこだわらないということだ。
良い提案、妥当な判断、常識的に考えて当然のやり方。そうであればそうであるほど、クライアントの感じ方と合わなくなるし、他の手段や提案、間を置くということをやりにくくなる。
カウンセラーの冷静さや客観性が損なわれる。
あまり「一点突破」にこだわらず、クライアントがその時点で受け入れられないようならばいったん引くことが肝心になる。
でなければ、いくら味方になっていたとしても裏メッセージのゴリ押しでクライアント-カウンセラー関係そのものがうまくいかなくなる。

クライアント-カウンセラー関係というものはカウンセリングの基本中の基本である。
問題解決や悩みの分析、症状の確認や診断・見立てとは比べものにならず、すべてに最優先すると言っていい。

2011-08-05 09:00

(関連URL)

検査をしてほしい人、あるいは薬がほしい人に対して「必要ありません」と言い切ってしまうのは、 その人の人格を全否定するのに等しい行為。

外来の待ち時間を減らす方法 – レジデント初期研修用資料(旧)

(関連エントリURLを追記 2011-10-28 21:00)

苦しさだけは否定できない | deathhacks

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