カウンセリングをするカウンセラーが、自分が担当しているケースについて自分よりも経験や知識が豊かな上級のカウンセラーなどに相談し、指導・アドバイスを受けること、すなわち「スーパービジョン」を積極的に活用する利点にはどんなものがあるでしょうか。
ここではそれを3つ挙げます。
カウンセラー自身の承認欲求を満たすため
一つめの理由は、カウンセラー自身がカウンセリングについて他者から認めてもらうためです。
心理カウンセラーの仕事にはクライアントと話した内容などについて、秘密にする義務が契約上および倫理上の理由から発生します。
カウンセリングをすることによって何らかのエネルギーを消費します。その成果がすぐにクライアントに表れて、そのフィードバックをカウンセラーが受けることは必ずしも期待できません。
いくらか、または完全に関係の離れたスーパーバイザーからケースについてのフィードバックをもらうことは、カウンセリングの内容にうまく合うかは別として、カウンセラーの行為に対する承認欲求を満たす手段の一つなります。
カウンセリングを純粋な善意からしているなどの特殊な状況がないならば、消費したエネルギーの補給としてなんらかの満足感や達成感を合理的に得る必要があります。
「とにかく、お疲れさん!」のひとことでも十分な承認になるかもしれません。
ケースやクライアント、そしてカウンセラー自身を客観視するため
スーパービジョンを受けるべき二つめの理由は、ケース全般について客観的な視点をもらうためです。
多くのカウンセリングケースはクライアントとカウンセラーの一対一で進行します。
カウンセラーは常に、クライアントが抱える悩みなどについて自分の価値観と照らし合わせざるを得ませんが、それに伴って色々な感情がわき起こります。
カウンセリングでは、カウンセラーがクライアントの問題や気持ちに「巻き込まれ」ないように注意するとされますが、まったく「巻き込まれ」ないということを感情を殺すこととしてしまうとクライアントとの関係(リレーション)
やカウンセリングそのものが成立しなくなります。
クライアントに巻き込まれ「過ぎない」のが理想なのですが、この紙一重の判断は上級者でなければ現場でいつも適切にすることが難しい話です。
そこで、何も現場以外でまでも一対一の孤軍奮闘にこだわらず、第三者であるスーパーバイザーの意見をあおぐ機会が有用なのです。
人間が左右のバランスを取ってまっすぐ歩くことは、経験と勘を合わせれば、目をつぶっていても可能でしょう。しかし、目を開けて周囲の様子や離れた場所の目標が見えればよりチャンと動けますし、みすみす気づけるはずの危険に入っていくことを避けることができるかもしれません。スーパービジョンはそのような外界情報の一種なのです。
最終的に社会と折り合うため
スーパービジョンを受けるべき理由の最後三つめは、クライアントが最終的に戻らなくてはならないだろう社会との折り合いをつけるためです。
結局カウンセリングをして、その場での問題の解決や悩みの解消の「感触」が得られても、ほとんどの場合それをそのまま元の所属する社会や組織に持ち帰ってうまく適用したり適合したりできるかわかりません。うまくいかない方が多いのではないでしょうか。
そこでカウンセリングの終わりに近づくほど、カウンセラーはプロとして、クライアント以上に広い視野が求められます。そしてその見えたものをクライアントに提示して戻す役目を果たさなくてはいけません。
言わばそのクライアント専用の「プチ」社会を演じる必要が出てきます。
その演じる社会は実際のものとできるだけかけ離れていない方が良いでしょう。しかし一人のカウンセラーそして上級者でなければその演じる社会に限界や不具合が出やすいため、外部の力、スーパービジョンという機能を利用するのが好ましいのです。
まとめ
以上、カウンセリングをする上でスーパービジョンを受けた方が良い理由を3つ述べました。
「スーパービジョン」という言葉はカタカナのまま使われることが多く、うまく日本語に訳され解釈されているとは言えません。
その意味や実践を学ぶにしろ教えるにしろ、十分カウンセラーが自分の中で考え消化した方が良いでしょう。
2010-05-07 7a.m.
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