メンタルヘルス実践の場での距離感

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カウンセラーはメンタルヘルス分野での実践において、様々な関係の「距離感」をコントロールする必要があります。

カウンセラーとクライアント

カウンセラーはクライアントの思考や感覚に近づかなくてはいけません。
しかし近づくほどに共依存や感情転移の確率と強さが増えます。

カウンセラーと(クライアントの)管理者や支援者など

カウンセラーの存在感が、組織や介入するコミュニティの中で大きくなりすぎるとどうなるでしょうか。カウンセラーが、現実問題としては責任を取れないのに頼られすぎたり、あらゆるメンタルヘルス周辺の問題をルーチンで持ち込まれるなどしてその集団内相互の力動を殺してしまいます。
かといって、ひっそりと仕事や支援の依頼を待つのみではカウンセラーの存在意義が少なくなります。

カウンセラー内の理論と現場

河合隼雄氏が言うように、カウンセラーは理論家 scientist であると同時に実践家 practitioner でもなくてはいけません。
そのどちらに重心を置くかはそのカウンセラーのスタイルです。決まりや正解はありません。ケースや時によっても適切な状態は異なります。
クライアントの思考や感覚に近づき、時には慎重に介入するやり方には、ケースごとに個別差が多く定型的で効率的な対応は少ないかもしれません。そのときどきでの現場でのバランス感覚が重要です。
しかし、組織や管理者、支援者に説明したり、渡り合ったりするためには現場での経験知やフィーリングだけではすぐに限界がきます。そんな時には一般化した理論や過去の知見が役に立ちます。
理論と実践を使い分けるのが望ましいわけです。

まとめ

メンタルヘルスにおける「距離感」は常に固定しておく間合いや一定に保ち続けることができるものではありません。
大切なのは行ったり来たり、たゆたいながら、その瞬間瞬間で少しでも適当な距離を認識したり変化させたりするための感覚だと思います。
メンタルヘルスには、今回挙げた3つだけではなく無数の関係とその間や中での「距離」があります。

2010-06-08 8a.m.

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