二流のカウンセラーはクライアントから感謝される

一流のカウンセラーはクライアントに、サポートしていることをあまり感じさせません。カウンセリングでの主役は当然クライアントであり、脇役であるカウンセラーが目立つような場面は限定的な方が良いでしょう。

クライアントの悩みが十分に小さくなったり解消したり、エネルギーが回復するなどしたときに、その結果の大半がカウンセラーのおかげであると考えてしまうと、クライアントは元の環境に戻っていくことに怖さや寂しさを感じてしまうかもしれません。あるいはカウンセラーに対して依存性が強く残ってしまうこともあります。

最終的にクライアントがカウンセリングを振り返って「なんかカウンセラーさんに色々と支えてもらったのは確かだけど、何より自分自身が頑張ったんだし、問題に向き合った自分は偉かった、回復した自分ってすごいなー」くらいに思えるのが理想形の一つです。

カウンセラーの側を見ても、クライアントから感謝されることを、カウンセリングという仕事を続けていく主なモチベーションの源にしてしまうことは危険です。カウンセリングという仕事は短期的には中々達成感や充実感を得にくいものです。

私のメンターの一人は「クライアントの『ありがとう』にだまされてはいけない」と良く言います。
クライアントはカウンセリングやカウンセラーに対して余程の不満があっても言いません。うつなどで対人恐怖や不安があり、外界と対決するエネルギーが減っている状態、しかも味方がカウンセラーしかいないかもしれない状況であれば、カウンセラーに不満などを伝えることでさらに敵を増やしてしまうような言動は怖くてできないからです。
そこまで考えないとしても、クライアントが不満や不安をはっきりとは感じておらず「まあ、このカウンセラーは自分にとってすごく役には立たなかったかもしれないけど、少なくとも攻撃はしてこなかったな」くらいの気持ちで「ありがとう」を言うかもしれません。それは嘘をついている訳ではないのですが、私はそれを単純に鵜呑みにすることは戒めようと考えています。

プロフェッショナルというものは、以前には、黙ってさりげなく気遣いをしたり見えないサービスをしたりしていても、正当に評価されていました。しかし最近では顧客がプロに対して明確な成果やメリットを求め、期待してくるようになりました。説明責任が過剰に要求される状況はサービスの送り手と受け手の双方にデメリットが生じる可能性があります。
そのバランスをうまく取ることもプロの仕事に含まれるのだとは思います。

2010-03-30 10a.m.

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