カウンセリングでため口は許されるか

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初級者にカウンセリングを教えていて、実際にカウンセリングのロールプレイをしてみせたり、ビデオを見せたりすると「初対面の設定なのにため口が気になったんですけど、、」「あんなにくだけた態度でもいいのでしょうか?」という質問をよくいただきます。

カウンセリングを大学で学んだ人や産業カウンセラーなどは、私から見ると、ロールプレイの場面で逆に堅苦しすぎるような印象があります。
私の立場や背景がカウンセリングなどでの人間関係に深く影響を与えているのは確かです。
私が30代半ばで仕事の上ではやや特殊な専門資格を持っていることなどです。

結論としては、カウンセリングにおいて「ため口」が良いのか「敬語」が良いのかというのはケース・バイ・ケースである、という当たり前の話になるでしょう。
しかしカウンセラーが持たなくてはいけない視点は「そのカウンセリングの中でため口や敬語などがどんなメッセージをクライアントに与えているか」ということだけです。

例えば、クライアントがカウンセラーよりも明らかに年配であったり社会的地位が高い場合にいきなり友達のような口調で話しかけたら不自然かもしれません。「私はあなたのことをあまり尊敬していませんよ」というメッセージと取られるかもしれません。
また、緊張や不安が強いクライアントに対して冷静に丁寧な態度でずっと接していた場合、クライアントの緊張がさらに高まってしまったり、カウンセラーが「なにか冷たい人」という印象を与えてしまうかもしれません。
こうして考えると、カウンセラーの取るべき態度に正解はない、という答えにならざるをえません。

注目すべきことは「カウンセラーが出しているメッセージ」「クライアントが受け取ったメッセージとそれに対する反応」です。それをカウンセリングをしながら、クライアントから見取って、常に微修正を繰り返したり、誤解されたメッセージを訂正したりすることを教えています。
関係や状況が許せばクライアントにざっくばらんに聞いてしまうことも私はしますし、一つのやり方としてよく紹介もします。「私の態度はなれなれし過ぎる感じがする?」とか「あまり丁寧な口調で聞くと学校の先生に質問されてるみたいで緊張してしまいますか?」ということは必ずしも正直に答えてくれるとは限りませんがクライアントに聞いてはいけない、というルールはありません。特にカウンセリングの初級者が心配するほどにはクライアントは気にしていないということはよくあります。

2010-06-03 8a.m.

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