料理のレシピで「秘伝」だとか「マル秘」「企業秘密」だとかで、非公開のものがある。
テレビのグルメ番組でも「ちょっとここからは撮影しないでください……」のような、見せびらかしたいんだか、隠したいんだか、はっきりしない気持ちになることも多い。
レシピは誰に帰属するのだろうか。
食の歴史や料理方法は、人類や文化が先人や既存の知識にどんどんと積み上げていってできてきたものだ。
昔の人の財産の上に成り立っているものなのに、それを他人に利用されるのは禁ずる、というのはしっくりとしない。
だが、すべてを公開せよ、ということになれば、料理の出版物や料理教室などの経済活動ができなくなってしまうかもしれない。
全体としては最適だが、一部の人は困ってしまう。
考えてみるとこうしたことは、文章や音楽にも当てはまる。
文字というものは誰か特定の人間や組織の帰属物、専有物ではないから、皆が自由に使って記録やコミュニケート、作品創造ができる。
誰かが文字の使用を制限しないし、できないのは、誰が作ったのか、育てたのかがあいまいではっきりしないからだ。
同じように、音楽だってドレミファソラシドの音程や楽器を誰かが独占したら困ったことになるだろう。
かようにアイデアや著作物を専有できるかというテーマは、一見当たり前のように思えてもあらためて考え始めるとややこしくなり面白い。
2012-11-10 08:00
Posted from Drift Writer on my iPad
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