特別な技術や知識を教え、現場で実際に活躍できるようになるまでに人を育てるのはやはりなかなか難しい。
とりあえず今回の話の上では、「人が人を育てることは本当に可能か」というテーマと「その技術が一般に普及すれば専門家の必要や負担は少なくなる」という点は外して考えたい。
カウンセリングや心理上の危機介入の能力を向上するのには、机上の知識と現場でのOJTの両方がバランスよくある程度順序良くあると良い。
そしてOJTにはクライアントが存在していてトレーニングよりも優先するから、OJTをする者にはその時点での技術や精神的な準備が相応に求められ、クライアントとの間には了承と契約が必要だ。
OJTをする者の技術や心構えなどは誰かしら上級者が判断しなくてはいけない。これは簡単なことではない。もしも、OJTの途上で相応しくない者がいたらばクライアントのためにその者を現場から外すなりの処置がその場その場で必要になる。
そもそもその者が現場OJTにふさわしいのかどうかを組織や個人(これも上級者)が判定するのも良い。そしてその判定には判定された人間だけでなく、「判定した者」にも責任が生じると思う。
小山龍介 原尻淳一《初記載時に著者名を誤っていました》氏の著作の中で、ノウハウの継承のためのシステムとして映画「スターウォーズ」における「ジェダイ」と「パダワン」の関係を理想型の一つとして挙げていてなるほどと思った。
(引用追記 2011-12-26 17:00)
PLANNING HACKS! 49
ジェダイの教育システムが部下を育てる(中略)
マスターとパダワンは常に一緒に行動をします。そして、マスターはパダワンの行動の1つ1つに注文をつける。それと同時に、一緒に敵と戦い、助け合いもし、コンビとしてやっつけるのです。わたしはここにOJT(On the Job Training)のあるべき姿をみます。やはり、部下はこうでないと育ちません。– PLANNING HACKS!、原尻淳一、東洋経済新報社、2007、pp.133-134
ここでその「ジェダイ-パダワンの師弟関係」の要素として大事な事が二つある。一つは、一般的知識として体系化されていないノウハウは暗黙知的であり、それを伝えるためには、生活やミッションを長時間共にするような(OJTのような)訓練が要るということ。もう一つは、弟子が道を誤った時にそれを正したり引導をわたしたりする責任が師匠(的存在)にはあるということ。温い、教えっぱなしの関係ではない。
徒弟制度に見られるような、伝統墨守や技術と知識の囲い込みによる旧世代の権益維持優先主義のデメリットもやっかいだが。
2011-12-26 10:00
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