スーパービジョンに上下関係は必要か

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カウンセリングのスーパービジョンには上級者が下位の者に指導するという前提があるようです。
しかし、上下関係の存在を絶対的な条件と考えて縛られすぎるのはもったいないように思えます。
「スーパービジョン」の元々の意味は指導や管理、監督というものですが、思考を止めて言葉や定義に従うことは必ずしも適当ではないのではないでしょうか。

スーパービジョンとして行われることそのものは、カウンセラーが、担当するクライアントケースについて振り返ったり、新たな視点を得たり、次回以降の展開を考察したり、不安を解消したり、気付いていない自分の価値観に気付いたりといった機能があります。
もちろん経験や技量が優れた、いわゆる上級者にスーパービジョンを受けたほうが得られるものは多いかもしれません。
しかし、十分訓練されたカウンセラーであれば、自分と同格、あるいは自分よりも経験の少ない同業者などを利用したとしてもそのケースについて新たな発見をしたり、冷静になったりする効果はあると思います。
(「格」の評価というものが難しいだろうということ、守秘をどのように考え扱うかという問題はあります)

また、スーパービジョンの責任はどのように考えればいいかということとも、この「上下関係不要論」に直結します。
スーパーバイザーとスーパーバイジーの関係がハッキリとした上下関係、指導・監督関係であるならば、そのスーパービジョンで生じた結果に関する責任はどちらにあるのでしょうか。
あるいはどのような比率で分担すればいいのでしょうか。

おそらく個々のケース、スーパービジョンにおいて明確な契約関係を結ぶことは少ないと思います。
(明らかな訓練・研修中のカウンセラーのそれを除く)
個人的には、いくら自分よりも目上・格上のカウンセラー・指導者に指導を受けたとしても、あるクライアントとの間で行われるカウンセリングの内容や転帰に関する責任は直接担当しているカウンセラーがすべて負うしかないと思っています。
もちろん、その中でさらにクライアントやその関係者との了解や契約によってその責任の範囲はまた変わってきますが。

今後の業界の趨勢やコンセンサスによって変動していくでしょうが、現在明確な基準や標準的契約形態や法律がない以上、カウンセリングそのものと同じくスーパービジョンにも画一的な定義を必ずしも当てはめなくても良いのではないでしょうか。

2011-02-13 09:00

(関連エントリ)

スーパービジョンをもっと自由に捉える | deathhacks

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