AKB48のように現場を踏む

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カウンセリング技術を向上させるためには、AKB48のようにとにかく実戦経験を積むのが一番良い手段です。

カウンセリングのベースには心理学や理論がありますが、最終的に成果を出す現場は実際にクライアントを目の前にしているときです。
カウンセリングはコミュニケーションであり対話です。頭でわかっていてもできないという状況がカウンセラーにもクライアントにも生じます。人生そのものを取り扱うような場面ですから正しい答えがあるわけではなく、出した答えの良し悪しや意味合いがあとで変わることもあります。
私としてはメンタルヘルスやカウンセリングの勉強をしているとは言っても、研究者や批評家というよりは、現場の実践家を目指しています。
それには現場での訓練(オン・ザ・ジョブ・トレーニング、OJT)が一番良い方法である、あるいは唯一の方法かもしれません。

アイドルグループのAKB48は秋葉原に専用の劇場を持って、原則として毎日公演をしているそうです。これは顧客というクライアントを事前に見込んで、まず「ハコ」「入れ物」を使いやすく確実に確保してしまうやり方で、劇団四季がロングラン公演を前提として専用劇場をつくってしまうことと似ています。

そこでは対価を取りながらファンというクライアントに対してプロとしての成果を出すことを求められます。
もちろん実戦に出る前に多くの訓練をしているでしょうし、そのメンバーになるためにはオーディションのような選定を受けているはずです。
それら事前の訓練や選定の部分はカウンセリングと似ていない面が多いのでしょうが、現場の重要性、現場経験がもたらす恩恵というものを考える上で参考になります。

やはり1週間に1件しかカウンセリングをしないのと毎日数件のカウンセリングをするのとでは得られるフィードバックの量が大きく違います。そして決まった結論がないカウンセリングという作業においては、常に変わり続けるクライアントや社会との関わりの中で舵取りをして、ときには微調整や妥協をしていく必要があります。

研究であれば過去の先人たちの知見を学び、一般化した「真理」を見出していくのが目標になるでしょう。批評であれば結果から、別の選択肢などを評価して改善を示唆すれば済みます。
しかし、それと現場の実践が重なる部分がどの程度あるかは現場で決まる話です。
後生大事に育てた理論や技術であっても、現場というもっとも適切な批判を受けなければその価値に説得力はありません。そしてとても有益な現場の反応という情報が得られる機会を避けるのはもったいないことです。

少々乱暴ですが、8割程度の完成度でも、まずベータ版を現場に投入し、あとはクライアントと一緒にニーズを合わせて拡張・調整していく、といった昨今のITサービスのような視点がメンタルヘルスにおいても活かせるのではないでしょうか。

2010-04-30 7a.m.

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