うつ的反応の一例(1)


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うつで職場を休んだ後に、リハビリで出勤を始めた方の話です。
何日か順調に通勤し、うまくリハビリが開始したように見えました。

しかしある朝出勤してから、急に帰りが不安になりました。
彼は都心の大きな駅を経由して通勤していたのですが、その乗り換えの人混みと電車内の混雑が突然怖くなったのです。
うつになる前も、うつで病院にかかるために電車に乗っても、リハビリを開始する前にも、まったくそのような不安を感じるとは予想もしていませんでした。

一般にうつの人には対人恐怖があるためにぎやかな場所や他人との交流を苦手とし避ける性質があります。
しかし、彼については職場や家庭では対人恐怖と言える感覚があるものの、まったくの他人や都会の喧噪に関しては、生まれ育った環境で慣れていたということもあって、苦にするとは本人も担当医もカウンセラーもあまり予想していませんでした。

彼が、急に人混みが怖くなったきっかけは「うつの人間は人混みが恐怖であるはずだ」という思考・知識でした。
彼は元々メンタルヘルスの知識を多少持っていたことと、休んでいる間も医師やカウンセラーに相談しながらうつについて勉強していました。
勉強自体はあまりに熱心に取り組むことで、却って疲れや緊張の元になるといけませんから、そういった影響ではありません。

ただ、彼は学んだうつやメンタルヘルスの知識を、当然ながら隈無く自分の身体のこととして、また専門家としてではなく当事者として、十分には解釈し飲み込めてはいなかったのでしょう。
そんなとき「普通、うつの人は大勢がごった返しているような駅や町中を歩くのは苦しいはずだ」「なぜ自分は今まで平気で、あまりきついことだと感じなかったのだろう」「これはこれまでの自分の感覚が間違っていたのかな」「自分は(うつの人間らしく)人混みを怖がるべきではないか」というような思考をしたのでした。

非論理的な思考に加えて、リハビリ期の柔軟性のない考え方や思い込み、教科書的なものから受験勉強的に詰め込んだ机上の知識などが相互に組み合わさって、このような「症状」が「突然に」表れたようです。

2010-12-11 06:00

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