メンタル不調での休養に意味がある

null

メンタル不調で生活や仕事を休むとき、それはそのまま休養という意味・意義がある。

しかし、それだけではなく、そこから回復していく過程での自分感覚集めという意義がある。

メンタル不調に陥るまでには、疲労やストレスを無視して、感覚や自然なセンサーを麻痺させて、突っ走って、あるいはフラフラになってしまっていることがほとんどだ。
その間や十分に心身を休めるまでは、何が負担で何が自身にとってどれくらいのストレスなのか見失っている。

休養の底から回復していく途中では、様々な焦りや不安が必ずある。
リハビリに時間がかかることそれ自体や、なんとなくの自信はあるのに周りからブレーキをかけられたり、逆に急かされたりと混乱したり、それに近い感覚を常に感じるかもしれない。
しかし、その過程は、単に通過点ではなく、弱っているからこそ自分が何にどれくらい疲れを感じて、ストレスを感じるのかを一つひとつ確認していくチャンスになる。

中長期的な計画や見通しをつけたいという気持ちも当然あるだろうし、それは確かに必要だ。
しかし、日々の作業や休養したことの意味を自ら作り出すことは大きなプラスになる。

2012-10-29 09:00

(関連エントリ)

うつのリハビリはこころの受身を覚えるチャンス | deathhacks

Posted from Drift Writer on my iPad

メンタル不調者の復職の責任を明確に本人と職場に渡す

R4003095

メンタル不調の回復段階では、どこかの時点でサポートを終了するなり、しっかりと切り替える必要がある。
不調が疾病性・事例性を持った当初は、専門家が十分にサポートするにしても、いつまでもそれを続けることはできない。

サポートを続けることができない理由には二つの側面がある。
一つはサポートスタッフの資源の限界だ。
そしてもう一つは、不調となっていた本人や会社の同僚・上司などが、自分たちの問題として、復帰後の先を考え対処していかなくてはいけないからだ。

この移行や現場の「問題意識」がなければ、メンタル不調者が次々と出てくる今時には、人的資源を上手に整えて企業や組織が活動や成長をしていくことはできない。
メンタル不調を早期発見しても、その後の回復過程をルーチン的にしていくことは可能だし、むしろ必須の方向だろう。

2012-09-11 16:00

図書館通勤と復職の隔たり

null

うつの休養・休職からの復帰で、段階的な回復の確認と慣らしを兼ねて、「図書館通勤」が奨められることがよくある。
図書館に限らないが、自宅などでのほぼ完全な休養から、会社への復職の前段階として、どこか環境的・地理的な中間地点を見繕い、数日から2、3週間そこへ「通勤」し過ごしてみる。

現場ではとても良い感触が得られていたり、好事例が積み上がっていたりするからなのか、図書館通勤は言葉と仕組みとしてメジャーになっているようだ。
しかし、こうしたリハビリ段階と実際の復職復帰との違いは本人と周囲は理解しておく方が良い。

違いとは、量的でもあるし質的なものでもある。
特にその質的なものに注意する。

職場への復帰は、もしも最低限度の業務からの再始動、さらに自席に座っているだけという条件でも図書館通勤とは比べものにならないほど当人は疲れるだろう。
それはなぜかと言えば、一番の疲労の原因は、仕事そのものから来る肉体的・頭脳的労働に依るのではなく、人間関係によるストレスだからだ。

様々なアンケートや調査でも、仕事の負荷が単独でうつやストレスにはつながっていない。
期待されるレベルに達しないとか、評価されないとか、周りからまったく助けが得られないなど、結局は人間関係を通した精神的負担がストレスの主原因であったり、体調を崩すきっかけとなっていることがほとんどであることは理解されていると思う。
このことはうつからの復帰においても変わるわけではない。

だから、いくら図書館出勤などがうまくいっていたとしても、実際の復職や出勤の段階で、また別次元のように感じられ、ドッと疲れることを知っておくこと。
もちろんこうした警鐘は却って不安を増やすだけであるかもしれないから、個別の対応はそれぞれだ。
適切に本人や、人事、上司などに情報提供するポイントの一つになっている。

2012-09-06 13:00

Posted from DPad on my iPad

うつのリハビリには陽のカウンセリングが要る

null

うつで落ち込んだ時期、どん底に落ちた状態のクライアントに対しては、休むこと以外のほとんどすべてにうまくブレーキをかける必要がある場合が多い。

焦らない(そのためにはどうする、どう考える)。
アルコールに頼らない(プラス効果とマイナス効果のバランス説明)。
大きなライフイベントや一発逆転的なストレス解消を避ける。
劇的に回復できるような医療や魔法のような助けを求めない。

もちろんこれらを説明するのにはメッセージコントロールをしながら、味方になりつつ、クライアントを主体にして支援していく。

しかし、うつのリハビリ期には、こういった否定や防御的な情報をメインとしたカウンセリングだけではうまくいかなくなる。
せっかくある程度回復してきたクライアントに対して、いつまでも「これをしない方がいい」「ここに注意して気をつけなくてはいけない」といったメッセージのみでは、治っていくイメージを持ってもらえない。
リハビリの状態や時期にもよるが、調子が上がってきた(でも、ここからは長丁場になる)ならば、明るい未来予測を示して勇気づける要素が要るようになってくるのだ。

「頑張れ、頑張れ」
「いいじゃん。それやってみようか」
「あの時期と比べたら回復してきた感じはあるのじゃない?」

クライアントが深く落ち込んだ陰の状態から長く支援したり、悪い時期のクライアントばかりに接してきたカウンセラーは、禁止したり、心配したりするのは得意だが、陽性のアドバイスや鼓舞をすることが結構苦手になってしまっているかもしれない。
だが、「ダメ出しをすること」のダメさも知り、現場の実践に活かさなくていけない。

2012-07-08 08:00

Posted from DPad on my iPad

うつリハビリでの、未来を想う不安とその意味

R4001206

うつから回復してくると、ある時期になって、未来について考えるようになる。
未来というのは自分の将来ということだ。

未来や将来といっても、はじめは「ある程度先の」こと、数カ月後から来年くらいまでの予定を考え始める自分に気づく。
うつで気持ちが落ちている、そして本人がそれを自覚すらできないような状態の時には1週間先、1日先の明日のことすら考えることができなくなっていることが多い。

そういった究極の行き詰まりを感じていた人が、将来のことを考え始めた自分に気づくと、うれしさや明るさ、希望を感じるよりも先に、不安を感じるだろう。
疲労の蓄積によって、数ヶ月から数年をかけてうつになったのだとしたら、時間的に先をみたり、予定を立てるという経験や習慣がすっぽりと抜けてしまっているからだ。

しかし、この時期のこの状態、未来について考え始めるという気持ちの変化は明らかに回復の兆しだ。
うつのリハビリの時期にほぼ全員が通る道だと思っていい。

2012-01-10 08:00

うつにおける復職するタイミング – その5

R4001134

うつにおける復職するタイミング – その1 | deathhacks

うつにおける復職するタイミング – その2 | deathhacks

うつにおける復職するタイミング – その3 | deathhacks

うつにおける復職するタイミング – その4 | deathhacks

あらためて、うつからのリハビリについて言うと「リハビリは辛くて苦しい
これは疲労の蓄積によって人が誰でも、どんなに強い心や身体を持っていたとしても、うつになる可能性があり、そのうつは死にたくなるほど苦しい、というのと同じことだ。
誰でもリハビリは苦しいし、苦しくないリハビリというのは存在しない。

かと言って、必要以上に苦行をするのも間違いだ。
苦しい思いをすればするほど、耐え忍べば忍ぶほどリハビリがうまくいくということはない。
その考え方は悪循環にはまってうつになるパターンの一つと同じになっている。

怪我や障害・病気の後のリハビリが適切な負荷をかけることが必要なように、精神的な、気持ちの問題であるうつのリハビリでもその「適切さ」が要る。
つまり、楽すぎてもいけないし、苦しすぎてもいけないのだ。

あまりに楽な状態や環境(職場や社会に戻ることがそうであることは少ないだろうが)でリハビリをすれば、その状況以外に適応することが難しくなる。
筋肉が衰えたり、使わない能力が退化してしまうようなものだ。
その楽な期間がおよそ年単位になると、身体も頭もそれに慣れてしまい、それ以上の力が出せるとしても忘れてしまう。

逆に負荷をかけ過ぎると、せっかく戻った社会や職場がトラウマ的に苦しさと強く結びついてしまう。
結果としてトラブルの元になったり、人間関係が壊れたり、場所や音、匂いなどの感覚までもが「悪い思い出」になってしまう。

このように、リハビリの負荷を「観測する」こと、ある程度長い期間(数週間から数ヶ月レベル)でその観測結果を見て次の戦略・計画の足しにすることはクライアント本人が一人でやることが難しい。
また、一人でもできるという場合でもリハビリについてよく知るカウンセラーのようなサポートがある方が安心でもある。
現時点で、そのようなサポートができる立場のプロは少ない。
医療や医師もその機能を一般には持たない。家族などでは社会的に関係や思いが近すぎる。会社の上司や人事機能はまだまだ知識や経験が揃っていない。

うつからの復職のタイミングのことだけでなく、リハビリ全般についてのアドバイザーやコーチがいてもいい。

2012-01-02 12:00

うつにおける復職するタイミング – その4

R4001104

うつにおける復職するタイミング – その1 | deathhacks

うつにおける復職するタイミング – その2 | deathhacks

うつにおける復職するタイミング – その3 | deathhacks

うつから回復してきて復職し、リハビリをしていく上でのコツや工夫としてはどういったことをすればよいだろう。

計画全体の基本としては「いつでも退却できる余地を残しておく」のが良い。
7割の力でこなせるような仕事や耐えられるストレスを目安にする。

具体的には、

  • 手続き上で完全に復帰して通勤し始める場合、その前の休暇・休職をしている時期に2週間ほどの試し出勤を組み込む
  • 例えば、年度初め(一般に4月だろう)から復帰したとして、はじめから1-2時間、半日の職場滞在に留める。世間で言うゴールデンウィーク休暇があるならば、同僚と同じようにそこでも休暇を取り、いったん休止する。(本人、または周りは、「もうまたしっかりと休むのか」というように思え、見えるかもしれない)
  • また1、2ヶ月して「休む」ことになったり、その必要が出てくることが十分にありうることを本人は知っておくこと。家族や職場上司、同僚も、最初から必ず順調に元のように戻っていくかどうかは未知数であることを再三認識しておいてもらう

その3でも書いたようにうつ休みからの復職やリハビリは「やってみないとわからない」部分がとても多い。
別に失敗することを当たり前と思って期待するなということではない。
計画は計画としてイメージすることは大事だ。
しかし、「やってみないとわからない」「本質的に未知なことばかり」で「コントロールが難しい要素も多い」うつリハビリでは、現場で作業を実際にしながらの微修正、軌道修正、検証と再調整が数多く必要になる。

うつリハビリのことを以前に、柔道での「受身」に喩えた。

うつのリハビリはこころの受身を覚えるチャンス | deathhacks

リハビリの時期での失敗は、大きいものでも小さなものでも、客観的な、長い目でみれば、役に立つ。
しかし、この時期のクライアントは不安のレベルが、うつだと判断され休む時期と同じくらい大きくなっているから、「大」失敗は避けたほうが良い。
どのみち、この時期に小さな失敗やトラブルは無数に発生するが。

(付け加えることが思い浮かべばその5を書きます)
その5書いた。

2012-01-01 12:00

うつにおける復職するタイミング – その3

R0013786

うつにおける復職するタイミング – その1 | deathhacks

うつにおける復職するタイミング – その2 | deathhacks

の続き。

前回と前々回のエントリでは、

  • うつによる休暇・休職からの復帰のタイミングはどうせ調整できない
  • カウンセラーはクライアントの復職の時期が決まったなら、そのタイミングが「OK」であり「大丈夫」であると言い、そうなるような支援をする

という話をした。

さて、クライアントが望まずに不安なまま、医療が保証や手厚いサポートをしてくれるのでもなく、戻っていく場所や社会がうつのことやクライアントの状況を理解していないとして、結果として復職はうまくいくだろうか。

答えとしては「やってみなければわからない」のだ。
なんとも無責任なように聞こえるかもしれないが、現場の感覚としては正にそうなのだ。

本人がまだまだ苦しさや体力的・精神的消耗を抱えていても、様々な状況から「エイヤッ」とばかりに復帰してみると意外にもなんとかなってしまったりする。もちろん本人の努力や周囲の工夫と理解がうまくいった原因のいくつかであったりするのだろうが。

一方で、十分に休むことができ、医師も「順調に回復してきましたね」と太鼓判を押し、会社の同僚や上司も温かく迎え入れてくれるような状況で復帰しても、また徐々にうつっぽくなり、トラブルが起き、再び休まざるを得なくなることも少なくない。そのような場合には「いったい、これ以上どうやって、より良く休んだり、周りが協力したりするやり方があるのか」「あと何を、どこを工夫すればいいのだ」というように、本人だけでなく家族や関係する者は思う。

「上手く」「トラブル無しで」「一回で」復帰しようという考え方は当然といえば当然の欲求だのだろうが、うつからの復帰やそこからのリハビリにおいては少し危険だ。上に書いたように、本人や周囲がいくら工夫や協力をしまくっても、「失敗」することはある。これは一時的に社会から距離を置いた後に、またその社会に戻っていく中で、季節や気温などの自然現象、通勤や移動など不特定の人なかでの日常、政治や経済、災害などの社会全体の動きなど、コントロールできない要素がやはり多いからだ。そしてうつから復帰する時期のクライアントは普通の状態の人の何倍もそれらから影響を受ける。

だから「やってみなければわからない」。

コツや工夫について書くのは次回になってしまった。(その4へ)

2011-12-31 09:00

うつにおける復職するタイミング – その2

R4001055

昨日のエントリ(うつにおける復職するタイミング – その1 | deathhacks)で書いたように、うつの底期から回復してきた人が復職するタイミングは意識してコントロールすることが難しい。
「本人が希望していて」「担当医の許可や理解とサポートがあって」「解雇や金銭的問題、家族や親類との人間関係からくる問題などのような社会的プレッシャーに追い立てられたからというのでもなく」復帰のタイミングが来るということは現実にはありえないと言ってもいいくらいだ。
もしも、それに近い条件がそろっていたならばそのラッキーを喜ぶべきだ。

実際には「本人が復帰できそうだと思っていても、会社がオーケーを出さない」とか「まだ十分に休めていないが、これ以上時間が経てば解雇となり、却って社会的なストレスが増えてうつがまた悪化する」というような場合が多い。

こんなときカウンセラーとして全体を見てアドバイスやサポートをする上で、どのように考えればいいだろうか。

カウンセラーはクライアントの味方の一人ではあるが、同一人物ではない。
その客観的な立場とプロとしての強みをどう提供するかを考えなくてはいけない。

まず、復帰・復職そのもの、そしてタイミングについては、クライアントに「今がベストだ」と伝える。ただし「ベスト」だとは言っても、総合的に見て、他に調整のしようがない諦めも含むものだ。

クライアントにとって、復帰のタイミングについての不安は大きい。「まだ早過ぎるのではないか」と「これ以上遅くなると戻れなくなるのではないか」という相反する感覚や気持ちが程度や比率を変えながら同居している。しかし、この不安は当然のものだが、あまりにもそれが大きいことは、実際に復帰するという段階ではデメリットが大きい。だから、カウンセラーは「客観的に見て」「プロとして考えて」、今がベストだ、OKだと言ってサポートする。

これが、医師の立場であれば「100%大丈夫とは言えない」としか言わないし、復帰先の会社や組織としては「本当に受け入れても大丈夫なのか。どう補助していけばいいのだろうか」という不安問題を抱える。それと同じことをわざわざカウンセラーが一枚多く加わってする必要はない。せっかく居るのだから、適切に、違う面からのサポートや異なる部分を見る手伝いを探す。

復帰のサポート準備の考え方についてはコツと工夫をまた明日のエントリで。

その3に続く)

2011-12-30 11:00

うつにおける復職するタイミング – その1

R4001065

うつで病気休暇を取るなり、休職なりをした人が、元の職場などに戻ろうとする場合に、その時期・タイミングをどう決めればいいか。
そのトリガーにはいくつか考えられるが以下のようなものが思いつく。

  • 本人が復帰したくなった時
  • 担当医が復帰を勧め許可した時(医療を利用していたとして)
  • 金銭や勤務契約上、復帰しないと起こる不利益がとても大きい場合

項目としては挙げることができるが、現実的にはこれらの中から自由に選べるというものではない。
また、この中の一つというのではなく、2つまたは3つ、それ以外の要素が同時に、あるいはタイミングを前後して発生することのほうが多いだろう。

さて、そうすると、タイミングを選べないなりに、その復帰についての戦略や物心両面の準備や工夫が必要になる。

(次回その2へ続く)

2011-12-29 17:00