自殺企図者がいるのは当たり前という感覚を持つ

SDIM0760

自殺が起きたり、大きな事故が起きたような組織に介入したときに、集団の反応をアンケートや面談によって把握すると、それら周囲の人たちの中にも自殺企図(自殺したい、消えてしまいたいなどの強い無力感に関連する)を持つ人がいることがわかります。
そのような人たちは面談で直接に話してみてわかる場合もあれば、無記名アンケートなどから浮かび上がってくることもあります。

その事実への対応には慎重になるべきです。
ただし、かならずしも緊急に迅速に対応することだけが正解ではありません。

まず大事なことのひとつは介入者や介入チーム自体が慌てないことです。
残念ながら、一定以上の人数を集めて全員と心理カウンセリング的な面談をするなり、心理テスト的なアンケートをしたりすれば、一定の割合で自殺企図、希死念慮を持つ人が存在します。
数十人規模のグループがあれば表面化しているかしていないかは別にしてほぼ確実に「死にたい」気持ちを抱えている人がいるのです。
その組織が把握していなかったり、まだその「死にたい」人が医療などを利用していなかったとして、介入者たちの面談やアンケートにはその気持ちを出せたとしたらそれは不幸中の幸い的な要素とも言えます。
上司や家族、組織には言えないけれども、少なくとも「専門家」には気持ちを伝えられる、助けを求めるチャンスがあるのかもれないと考えられます。

また、自殺企図があったとしても、すでに医療やカウンセリング、あるいは組織の助けが届いている場合もあり得ます。
その場合には本人や周囲の人たちのニーズに合わせてアドバイスするなどはできるかもしれません。

通常、自殺企図者の存在に気づいたらば組織の管理者にはそれを事実として伝えます。
上司や管理者は「誰が」自殺企図を持っているのか、当然気になり、調査や対策をしたくなります。
そのときにはそれらの行動、調査、対策が、現に今自殺企図を持っていて隠している(表現もできない)ような人に対してはさらにプレッシャーを与えたり、追い込んでしまったりする可能性があることなどを説明します。
しかし、これらのアドバイス、コンサルティング(のような)活動についてもケースバイケースとしか言えない現場でのバランス感覚が必要です。

2010-09-09 07:00

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