うつは生活習慣病

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何か大きな出来事、惨事や災害などが原因でうつになるという視点だけでは間違うことが多くなります。
そういった原因が明らかに無いように見える人のうつを理解することができません。

疲労が徐々に蓄積することによってうつに近づいていき、だんだんにトラブルの芽を抱えつつも気づかず、あるいは気づかないふりをしてきた人たちがいます。
ある一定の線を越え、はっきりとした症状や問題が出てきた時点では簡単に対処したり回復したりすることができません。

この性質は正に肥満や高血圧症、高脂血症や痛風、メタボリック症候群のような生活習慣病と同じではないでしょうか。
生活習慣病では、昨日と今日の違いが自分にも他人にもほとんどわかりません。
しかし、数ヶ月から数年の長さでみると身体への悪影響が明らかになってきます。

生活習慣病を治す、立て直すことが難しいのは、その根本的治療が薬など外部からの介入だけではできないことからきています。
「生活習慣」を変えることが治療の唯一効果的な王道です。
しかし、「生活習慣」はその人自身が持っているものであり、その人そのもの、その人の人生おも言えます。
それを変えようとすることはとても難しいものです。
自分に攻撃をする、自分にストレスをかける、過去の自分を否定することになるからです。

うつの治療も同じです。
薬による治療や環境調整まではなんとか外部から介入できたとしても、休養を取る、精神的にあきらめて「頑張って」休養するためには当人が変わることが必要です。
しかしそこで、自分を変える、過去の自分を否定するという、確かに必要だけれど新たなストレスを増やすという矛盾が生じるのです。

うつを治す、メンタルヘルスにおいて介入するためにはこのことを理解しなくてはいけません。
生活習慣病への介入と同じく少しずつ全体を改善していく戦略、他人が強制するのではなく当人が変わりたくなるようなコーチング、最終的に本人が変わらなかったとしてもそれは本人が選んだ人生そのものであるという達観を持つべきでしょう。

2010-08-14 09:00

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