カウンセリングの再現方法

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カウンセリングや精神療法の内容を記録するのに、逐語録、あるいは似たような形式が使われる。
とにかく時系列に、できるだけ漏らさずに、起きたことやクライアント(患者)とカウンセラー(セラピスト)がしゃべったこと、考えたこと、言動などを文章化する。

しかし、これらは当たり前だが、生のリアルな会話ではないし、音声や環境、コミュニケーションの質感などを完璧に再現できるはずもない。
セッションそのものを奏でられた音楽だとしたら、記録は楽譜に過ぎない。あるいはただ楽器が置いてあるだけのように見えるかもしれない。

そんなとき、頑張ってすべての出来事を記録したり、語ったりするよりかは、ごく一部分を少しでも情景が思い浮かぶように再現して表現した方見聞きした人に実感が伝わることがあるかもしれない。
または、多少誇張したり、主観を交えてしまってでも、表現を工夫・調整したほうが伝えたいものが伝わることもあるだろう。

この話は逐語録や論文、学会発表などの形式を否定しているわけではない。
その性質や利点欠点を理解しないで、予定調和的に固執してはもったいないのではないかと言っている。

もちろん、文字だけの情報伝達や表現を否定してしまうと、小説というものは成り立たなくなってしまうし、映画や演劇のほうが優れていると無茶な主張になってしまう。
キチンと訓練され、ルールを知り、運用をうまくするのならば、戯曲から映像や音声を再現あるいは頭の中で自演することもできるし、楽譜を見ただけで演奏をいきいきと思い描いたりはできるだろうことは理解している。

2012-11-13 08:00

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