ストレスや疲労は管理できない

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職場の隣の部署の朝礼で「コレステロールというものは卵などに多く含まれていて、、肥満やメタボリックシンドロームというものは、、」というような話をしているのが聞こえました。

いわゆるダイエットや健康管理のための教育的講話なのだろうが、ピンと来ない内容、深さだと思うのです。
最近は知識や情報自体はインターネットなどを使えば、膨大な量のものが素人と専門家の違いなく手に入ります。
しかし、その後の処理や表現には歴然とした差があります。

さて、ダイエットするのに一生懸命「お勉強」して、どの食品が何kcalでどれくらい運動をすれば何kcalのエネルギーが消費されるというようなことを知ったとして、果たしてそれだけで肥満を解消する大きな一歩になるでしょうか。決して無駄とは言いませんが。
健康診断の数字を改善するのに、コレステロールが多く含まれている食べ物や高脂肪の食品を知ったとして、それが直接すぐに行動変容につながるでしょうか。

人間は見えるもの、測定できるものしか「コントロール」「管理」できません。
食生活、食習慣をコントロールするためには「毎回」の食事を数値化、見える化しなくてはいけません。
食品毎のカロリーやコレステロール、脂肪などを学んでも、結局目の前に出てきて自分が口にするものと結びつけなくては意味がないのです。
そういった意味では、岡田斗司夫氏の「レコーディングダイエット」は「管理」方法として適切なレベルへのダウンサイジングをしている画期的なアイデアでした。しかし、多くの人は「そんなに細かくまめにやらなくてもいいじゃないか」「それくらいなら別にすごいやり方でもないな」という低い評価をしています。
注目する対象は違いますが「はかるだけダイエット」も、いかにして日々の(さらには1日の中での)体重変化を可視化するかを工夫したものです。これも説明されれば到底真新しいやり方には思えない、でも人間の認知や行動変容に対して適切にアプローチしているのです。

さて、さらに対象を変えれば「ストレス」や「疲労」も体重やコレステロール、あるいは血圧などの生体情報と決して違うものではありません。
もう一度同じことを書くと、「測定できないものは管理できない」という原則が当てはまります。
この言葉の出展は経済学者のP. F. ドラッカーが「時間」という有限なリソースについて指摘したものです。
人類は時間という概念を認識あるいは発明しました。しかし、それだけでは行動に大きな変化はありませんでした。
次に時計というものが生まれました。カレンダー(暦)も生まれました。これによって一人一人がそれぞれに時間を知るだけでなく組織的に統制して行動することができるようになりました。
しかし、それだけでも現代は足りず、時間や行動を記録して、可視化しなくてはそれを管理できないということをドラッカーは見抜いたのです。

話を戻せば、「ストレス」や「疲労」は実はまだまだ、名前が付けられ、ボヤーッと認識されただけの状態です。
決定打となるような「見える化」はまだされていません。
だからストレスや疲労を「管理する」「コントロールする」ことは現時点でとても難しいことなのです。
それでも各種の心理テストや生体情報測定による数値化の試みは多く試されています。
万人に当てはまり、いつでも使いやすいような方法が見つからない限りは、臨機応変にそれらに対していく必要があるでしょう。

2010-06-26 7a.m.

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