自身の内側から湧き上がった感覚がなければ実戦では使えない

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我々はカウンセリングでするクライアントへのアドバイスを、必ずしも実行を唯一の目的としていないこと(しないこと)と捉え、教えています。
一番いいことは、クライアント自身が現実の環境や社会、現実と向き合って、バランスの良い、しかも本人が納得、妥協できる道を選ぶことです。
それは往々にして、いくら経験豊富で客観的に見ているカウンセラーと言えども、外部から与えられたものではなく、多少いびつで不具合があっても内側から出てきたものには敵わないのです。

このことはカウンセラーや教育をする側にも当てはまります。
知識やテクニックは、今の世の中、いくらでも情報として得ることは容易です。
基礎的なことであれば、習ったままにやってみる、本に書いてあることをそのまましゃべる、というのでもうまくいき、成功体験を得られるかもしれません。
しかし、どんなに科学的だったり、確かなように思えても、他人に伝えようとしている本人の腑に本当に落ちていなかったり、実感や感動がなければ、実戦の場や厳しい現場で闘うことはできないと思っています。

それは、カウンセリングにしても教育にしても、いまいち実感がない、ということがそのままクライアントや被教育者に伝わるからです。

クライアントの立場であれ、教育者の立場であれ、現実的な知識や技術を身に付けるのと同時に、既存の知見を疑い、自分流に解釈やアレンジをして、正に使い慣れた武器や包丁、器具のようにこなすことがコツだと言えます。

2011-02-28 07:00

人間はなかなか死なない

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うつのリハビリでは、ちょうど良い負荷にコントロールしながら、体力や感覚、社会での生活力を回復していくのが本当に難しいものです。
運命的な要素や社会や組織の規範がどうしても個人の事情に合せてゆずることができない場合も多々あります。

それ以外は、カウンセラーや周囲の支援者、医療関係者などから見て、無謀に思えるリハビリプランをクライアントが選ぶという場合もあります。
時期の早すぎる復帰やリハビリの始めから飛ばしすぎてしまうような状況です。

それでも必ずしもそのリハビリが失敗する(と予想できる)かと言うと、そうでもないというのが世の中、人生、メンタルヘルスの面白い(興味深い)ところです。
カウンセラーから見て「絶対失敗する」と思い、クライアントに助言をし、それでも「どうしてもこのやり方でやってみたい」と気持ちが変わらなかった場合でも、やってみたら意外に大丈夫だった、ということは良く経験します。

人間は強くて、弱い。
それに、世の中や社会で何が起こり、どのように人に影響を与えるかというのは分からないものです。

一寸先は闇。
しかし、その闇というのは単に悪い結果を思わせる暗さではなく、良いか悪いかが分からない、というだけの暗さです。

個人的に持っている感覚、価値観にも合っています。

“人間は殺そうと思ってもなかなか死なない。かつ、生かそうと思っても簡単に死ぬし、止められない(こともある)”

2011-02-27 08:00

読書感想「あの戦争と日本人」

あの戦争と日本人
あの戦争と日本人

posted with amazlet at 11.02.26
半藤 一利
文藝春秋
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メンターのおすすめにより読。
普段はほとんど読まない歴史・史実もの。

それでもやっと最近は「ジパング」を全巻読破したり、「坂の上の雲」を読んだりして(今、文庫の第3巻で停滞しているが、、)少しずつは全体像を自分なりにイメージするようになってきた。

正直言って、ピンとこない章もあったが、「戦艦大和」の章、「原爆」の章、「特攻隊」の章辺りは感情を揺さぶられたし、泣いてしまうくらいだった。

ただ、この本から得られたのはそのような、内容に関することだけではない。
一番深く感銘を受け、参考にしたいのは、著者(語り手。口述筆記とのこと)自らが「歴史探偵」を称することで言い表せるように、常識や既成の概念を簡単に鵜呑みにはしない、という精神である。
そして、丹念に関係者や史実資料にあたって、しかも厳しく吟味している。
かといって、確実な情報だけに遠慮してとどまるのでもなく大胆に己を信じて仮説を立て、適当なバランスで事実と仮説を語っている。

メンタルヘルスなどでもそうであるが、あらゆる学習・研究に向かう姿勢としてぜひ真似たいと思う。

2011-02-26 09:00

ジパング(1) (モーニングKC (731))
かわぐち かいじ
講談社
坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
文藝春秋
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メンタルレスキューを国家資格にしたい

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メンタルレスキュー協会( http://www.mentalrescue.org/ )の認定資格を将来的には日本国公式のものにしたい、というようなことを去年(2010年)の今頃考えてメモしていたようだ。

ちょっと壮大と言えばそうで、関係者にも大風呂敷を広げ過ぎだとか、ナンセンスで意義が少ないのではないかとかも言われそうではある。

社会情勢としては、少なくとも2006年に自殺対策基本法ができたり、その流れで全国の行政自治体などに予算が配分されたりと、良い動きはある。

組織としても個人としても、メンタルヘルス関連の活動について、自由に制限を受けずにやることは結構なことではあると思う。

ただ、ある少数のカリスマや実力者がいたとしても、その個人活動が社会全体に影響を与えるまでのパワーを効率的に発揮するためには色々なアプローチがあって良い。
個人がその責任の範囲で啓蒙・普及していくのもいいが、自由を減らし、制限が増え、自制・自律のコストが増えたとしても公共性を高めていくことは有益だと思う。

国家資格にする(あるいは作る)というのは確かに過剰な目標かもしれないけれども、まずはそういう突き抜けた発想と視点もいいのではないか。

また、「国家資格」と言っているのは、あまり文字通りの意味だけというのではなく、要は「メジャー」したいということなのかなと思えている。

2011-02-25 07:00

楽しくて楽じゃないと続かない

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楽しくて楽でも続くと飽きる

へぷとんのたんぶら,  とある常駐先に合流した私。そこのまとめ役の人にこんなことを伝えられたんです。「ここでは毎朝9:15に…

2011-02-24 06:00

(関連URL 追記 2011-12-16 17:00)

「やりたくないことはやらない」4つのメリット | ソーシャルウェブが拓く未来

メンタルヘルス教育グループの適切な人数は18人である

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  • 限定的な状況想定を前提として
  • 期間を2から6ヶ月くらいと考える
  • 指導者は2名+補助者数名
  • 場所・スペースは普通の小中高の教室か、大学などの1個セミナールームくらい?
  • 教育項目はカウンセリングロールプレイ、惨事後グループミーティング、グループ討議、教育発表、エクササイズ、エンカウンター的なレクリエーション、リラクゼーション法など
  • 肝は人数を2と3の倍数にすること。つまりその公倍数6の倍数ということになる。6名または12名または18名または24名
  • うなずきや表情などのメッセージコントロールの初期トレーニングやエクササイズ、リラクゼーションなどではまず2名組での練習が基本になる。だから2の倍数の人数にすると良い。単純に考えても偶数の方が均一に分割しやすいのは自明。全体を2つのグループに分けても同人数にできる
  • 3の倍数にする意味。カウンセリングロールプレイなどでそれぞれがクライアント役、カウンセラー役、観察者役にすることが多いから。
  • 役割を交代して時間回しすることも多い。このとき最小人数の3名であれば<(一定時間+振り返りの時間)×3>で計算できる。この3という掛け係数が4、5、6と増えるに従い時間所要は当然増え、感覚的にはその日や教育全体の時間コストに与える影響はとても大きい。(人数を18名と確定するべき、という今回の論は正にこの部分の感覚と経験から考え始めている)
  • 1グループ3名であればプラスして指導者または補助指導者を加えて振り返りやフィードバックをしても時間コストへの影響は最小。また、人数が増えるとどうしても振り返りの「密度」は下がるように思う
  • グループ討議などの内容の必要性上、一つ一つのグループの人数を増やすことは比較的容易。18名なら必要であれば9名のグループまではできるわけだ
  • 特にカウンセリングロールプレイあたりのトレーニングに力を入れるならば、3名でのグループを常に追求するべきと思う。結局この人数が最小構成(クライアント役、カウンセラー役、観察者役)。4人目をあえて加える意義は少ない
  • 3人×6グループならば、指導者は2名(主)+4名(副)でそれぞれを観ることができる。ちょっとしんどいが3名あるいは最小の2名でも観察・指導は可能かなと思う
  • 18名と考えると、9名での2チームグループ討議もできるし、6名での3個チーム並列の教育・学習もできる
  • 6名だと本当に最小のミニ勉強会という感じだから考えに入れるのは除く
  • 12名はOKと思う。2、3、4、6名という分け方ができる。ただし少数精鋭を追求するという感じが弱ければもう少し多くても観られそう。また人数を限定することとは矛盾するかもしれないが、なるべく多様なキャラクター、人物がいた方が、カウンセリングやメンタルヘルスの教育学習では有益。男女比や年齢層、人生経験など。18名もいると確実にうつや惨事の体験を自身が持っていたり、かなり身近に経験している人もいる
  • 24名だと多すぎる印象。2名分けだと全体を広く薄く観ることになるのは18名での9グループとあまり変わらないと思う。3名分けだと8個グループと6個グループでやや差が出る感じ。補助指導者の人数と技術などが潤沢であれば質は保てるとは思うが
  • もちろんこれらの考え方から18名グループとすること以外にもメリット・デメリットをふまえて応用的に人数を増減することもあり得る
  • 人数構成は理想論。政治的理由などは場合により最優先事項となったり、非可変の前提となるから

2011-02-23 07:00

日々、ワクワク、振り返り

R0013092

講演を聞いて死ぬほどワクワクすることがあった。
なぜそこまでトキメイたかを後から考えてみると、その理由は、内容が自分の学んできたこと、やっていること、考えていることと一致していたからだ。

同じように本を読んでいて「いいこと書いてあるなー」と感心することもある。
それは、知らないことが書いてあった、というだけでなく、あらためて文章として外部から得られた情報が、自分として腑に落ちるし共感・納得できるということのようだ。

そう言うとまるで、「あー、それ、私も思ってました」「知ってる、知ってる!」「そう!そう」と、後出しで追従しているみたいで自分がズルいように感じる。
情報を吸収したり、考察してまとめたり、自分が成長しているのではなく、自分の正しさを確かめて安心したがっているだけかもしれないという不安。

2011-02-22 07:00

話を聞くというのは事実を聞くのではなく物語を共有すること

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物語を共有するには事実と思考・感情をバランスよく、順番がわかるように聞く。

それによってカウンセリングであれば、物語を話したクライアントは、カウンセラーを信頼できるようになるし、味方になってもらえる可能性を感じるし、アドバイスを受け入れる態勢が整う。

ドラマであれば、そうして初めて、感動や喜び・悲しみ・楽しさ・問題意識などの深い感情と思考が受け手に現れる。

2011-02-21 07:00

驚きと疑問が下手

R0013083

5メッセージである興味津々、驚き、疑問、了解、共感のうち興味津々、了解、共感は、誰でもなんとなく理解しやすいし、それなりに表現することはできるようだ。
しかし、驚きと疑問はそれらに比べると表現すること、あるいはバランスよく出すことが難しい。

カウンセリングロールプレイで一旦は意識して驚きや疑問を表現しようとしてみても、10〜15分間くらいの区切られた時間で現場を設定してやってみるとさっぱり消えてしまう人は多い。
見ているこちらが驚き、疑問を持つくらいだ。
初期のトレーニングでこの部分を習得できるかできないかは、その後の成長の速さの違いとして如実に現れると思っている。

考えてみると、日常の社会会話やコミュニケーションの中で、驚きや疑問を素直にあるいは多少大げさに演技的に表現することは一部の人にとってはとても少ない。
逆に、感情を押し殺して、なるべく主観や気持ちを仕事にしても勉強にしても持ち込まないように訓練され、あるいは社会的に仕向けられている。
そしてカウンセリングという業・仕事を行う現場でも、その意識や緊張・プレッシャーからくるぎこちなさを克服できない。
仕事なのに感情を込める、という経験を持っていたり、実生活で慣れているという人は比率として少ない。
芸術家や俳優、タレントに近い動作だと思って欲しい。

しかし、驚きと疑問は、カウンセラーにはとても大事なコミュニケーションツールである。
この2つのメッセージがクライアントに伝わらなければ、同じように話や事実を聞いているように見えるかもしれないが、その中身や起こっている感情・感覚は歴然として違ってくる。
興味津々、了解、共感だけでは、カウンセリングが深まらないし、味方になることは難しい。

驚きメッセージを出して、クライアントの思考や感情とバランスをを取り、付かず離れずのカウンセラーの感情を分かりやすく伝える。

疑問メッセージをを出して、日常会話や仕事の会話では聞き流したり、全体のバランスから見て、あるいは時間的制約・効率から突き詰めて聞いていないようなレベルのディテールをおろそかにしないでクライアントに伝える。
その上で、詳細を、バランス良くクライアントから「教えてもらう」ことを丹念に繰り返していく。

初期の段階から細かにフィードバックをもらい、振り返りしつつ、バランスを考えつつもとにかく、大きく驚く、素朴な細かな疑問を流さないでキチンキチンと尋ねるということをトレーニングする。
そのトレーニングの合間では、驚きと疑問というメッセージの持つ意義やクライアントそしてカウンセリングという場で何が起きているのかを突き詰めて考えこみ、また自分に返すということを繰り返す。
それが5メッセージの表現力を身につけ理解するための最も早い道です。

2011-02-20 08:00

クライアントに伝わった5メッセージの転機

20110219-01

カウンセリングの基礎として教えているメッセージコントロール。
そのまたさらに基本としては5つのメッセージを表情やうなずきでクライアントに伝えることを練習する。
その5つとは、

  • 興味津々
  • 驚き
  • 疑問
  • 了解
  • 共感

である。

メッセージコントロールは「伝える力」についての配慮であるが、結果としてはクライアントに「伝わる」か「伝わらないか」ということがすべてである。
当然、相当な部分をクライアントが担っている。
クライアント任せと言っていい。

5つのメッセージがうまく伝わったときにクライアントから見ると、どんな感じなのかを考えてみる。

  • 関心・興味を持ってくれている。心配してくれている。(興味津々をクライアントからみると)
  • もっと話したい。もっと詳しく教えたい。(驚きをクライアントからみると)
  • ん?うまく伝わってないかな。(疑問をクライアントからみると)
  • 話が伝わった。(了解をクライアントからみると)
  • 気持ちが伝わった。この人は味方だ。信頼できる(かも)。(共感をクライアントからみると)

カウンセリングはダンスのように、クライアントをパートナーと考え、一方的にカウンセラーの感情や思考を押し付けないようにしなければならない。
それには常にメタ視点やクライアント視点では、どんな思考や感情が展開しているのかを真摯に(あるいは狂ったように)想像しなくてはいけない。

その思考実験や研究はいつでもできるし、いつも、いつでもやるべきだ。

2011-02-19 09:00

目からウロコのカウンセリング革命―メッセージコントロールという発想
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