惨事サポートの現場で当事者の名前を知っておく

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惨事後サポートに入るときの一番のポイントは、グループから見てもらって、如何にサポートチームへの心理的距離を近くに感じてもらえるかだ。
これは組織がどれだけ当事者グループの皆を心配しているとか、サポートチームがなんとか問題を解決したい、助けになりたいと思っているか、ではない。
極端に言えば、「あぁ、この人たちは自分たちの状況、自分たちそのものを良く(まあ)理解しているな」と感じてもらえるかが勝負になる。
さらに言えば、実際に様々細々したことを知っている必要はない(長期のサポートにしても短期のそれにしても外部からのチームが入り込むには限界は低めだ)。

この目的を達するためのもっとも簡単なテクニックは、個人の名前を知っておくことだ。

事故の被害者や亡くなった人などのフルネームを、最初期に確認しておく。
年齢や性別、プライバシーというレベルでない一般情報(役職、人物の印象、見た目、評価、住地域、家族構成など)なども知っておくと良い。

これらの情報をグループ対応にしても、個別の面談にしても、知っていて提示するのとしないのとでは相手が受ける印象に雲泥の違いが出てくる。
初対面の間柄でもなるべく早くに親しくなりたいというときに、会話の中で自然に相手の名前を繰り返し呼びかけるという基本的なコツと一緒だ。

逆に、内容としてはいくら素晴らしい、適切な話をしていても、うっかりと当事者らの名前や情報を言い間違えてしまうと目も当てられない。
全体の印象はリカバリーできないくらい落ちてしまったり、しらけたりしてしまう。

もちろん、惨事後サポートの依頼を受けたり、管理者や人事担当者などから事態のヒアリングをしたりするときに、自然にこうした情報が取れればそれでいい。
だが、実際の場では、名前を始めとした情報は出てこないことが多い。
この理由は、これらの情報が知っていることがあまりにも当たり前すぎて、先方の担当者らも省いてしまい「彼が……」とか「彼女は……」とかいうように代名詞を使ってしまうからだ。

2012-12-11 09:00

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