カウンセラーを育成しても組織のメンタルヘルスは向上しない

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私個人の意見として「研修などによってカウンセラーを育成してもメンタル不調者の減少にはつながらない」と言ったら、実際に研修に携わっている人や人事から反感を買うかもしれない。

しかしおそらくこれは間違いではなく、確率的に分が悪いとか、費用対効果が高くないとかいう意味では正しい。
確実な、目に見えるような変化や効果は期待できないだろう。

考えてみると「カウンセラーや専門家が増えれば皆のメンタルヘルスが向上する」という論法は、明らかに正しいように見えて実は定量的な成果、時間的な制約などが入ってはいないため、評価しようがない。

逆に考えてみるとよくわかるはずだ。
「メンタルヘルスを向上させる」という目標がまずあったとして、その手段が「カウンセラーを育てる」だけということはあり得ない。
他にもいくつものプランや考え方、資源があった上で、その一つが「カウンセラーの育成」であるに過ぎない。

労務管理を整備する、勤務報酬を上げる、業績を拡大してやりがいを増やす、健康診断の情報から改善点を見つける、福利厚生を充実させる、外部サポート資源を利用するなど、採ることができる手段は無数で無限だ。
これらを一つひとつ検討し、導入し、全体もしくは個々の効果を可能な限り厳密に評価し続けるのが結局最も効率がいいメンタルヘルスの増進維持施策なのだ。

こうした中の一手段である「カウンセラー育成」は特に効果測定が難しい。
そもそもカウンセリング自体の効果測定が広く確立されてはいない。
しかもカウンセリングは前提として、組織などの対象者全員が利用するという位置付けではないことがほとんどだろう。
つまり少数の者の利用事例から成果を評価しなくてはならない。

欲張らないのであれば、長期的な効果測定はしながらも、カウンセリングがうまく機能したケースを記録したり、匿名化などの処理を適切にした上で適切な範囲で共有するというくらいがちょうど良いだろう。

2012-05-07 08:00

Posted from DPad on my iPad

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