研修・セミナーにグループディスカッションを取り入れる

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研修などの構成に、インタラクティブな要素、例えば参加者間で少人数のグループを作り、テーマを与えて議論してもらったりロールプレイをしてもらったりすることがある。
以前は、そうした手法について、「まあ講義や講演を聞いているだけだと皆飽きてしまうよなー」とか「でもグループの中で収拾がつかなくなってコントロールが効かなくなったら怖いな…」とかいう感じを持っていた。
しかし、今では1時間に満たない、ごく短時間の場でない限り、積極的に取り入れるべき、あるいは必須のやり方だと思えるようになった。

グループディスカッションやロールプレイ(実習)を用いる理由には3つある。

  1. 参加者の思考や参加者間のコミュニケーションが活性化する
  2. 参加者の発言欲、表現欲が満たされ、次につながる
  3. 参加者がいる現場についてヒアリングすることができる

余程のオーラがある人や、カリスマ的人気の演者でもなければ、ただその話を聞いているだけの進行には時間が長くなるほど無理が出てくる。
逆に短時間だったらば、良い時間で有意義だったのに、と思うことも多い。
映画でも、「いくつかのシーンを編集でシェイプアップすればもっと素晴らしく感じたのに!」ということはよくある。

百聞は一見に如かずだ。
話として聞いたことを、あらためて自分の言葉で語り直してみたり、場面を再現してみることで内容の理解や実感、テーマへの興味は確実に高まる。
話すことやプレゼンテーションの演出などを工夫するよりも簡単で費用対効果も大きい。

また、人間誰でも、他人の話を聞いていれば「アレッ。その点は自分の意見ではちょっと違うな…」とか「んっ? この場合にはどう考えれば良いのだろう?」とかいった思念が浮かんでくるものだ。
一方的な講演や訓示などでは、そうした思考は封殺されてしまう。
だが、そうしてしまうのはもったいない。
それを一般的な質疑応答だけにせず、研修のメインに持ってくる。
より参加した感が高くなり、研修が終わった後にも、テーマについて考え続けてもらえる。

最後の理由として、演者側の利点は、参加者の生の意見が聞けるということだ。
どんなに主催者と事前の打ち合わせをして、準備をしても、研修で目の前にいる人らの背景やニーズは正に水ものだ。
その場で臨機応変に、リアルタイムに内容やテーマを変化させなくてはいけない。
それでなくては、リアルタイムに、リアルな場で研修をする意味がなくなる。
ただ単に知識を教えたいというだけなら、本や資料を作って渡して読んでもらう方がお互いに効率がいいはずだ。

こうしたヒアリングは、その研修が同じ集団で連続する場合でも、異なる人たちに対してやっていく場合であっても、その質を高めていく材料になる。
演者側の利点とは書いたが、直接に参加者のプラスにつながるわけだ。

このようにディスカッションや実習をすることには、最初は怖さや予測のつかない不安を感じるだろう。
しかし、コミュニケーションやカウンセリングと同じく、人対人の活動には対話が有効だ。
すべてを演者自らが準備して場に供給する必要はないし、効果的でもない。
テーマへのより適切な答えは、参加者ら自身、またはその場皆が持っていて見つけ出していくものと考えてよう。

2012-05-01 07:00

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