研修の遅刻は原則待たないが。


R4001166

10〜20名くらいの教育やセミナーで、遅刻者をどのように扱ったら良いかという話。自分が主催側や講師であったとして。
そして今回は特に、コミュニケーションや心理カウンセリングなどをテーマにしている集まりだという設定で考えてみる

その会が数人というようなごく少人数の面識のある間柄であれば、遅れてくる人間を待とうが待つまいが、なんとなくその場の雰囲気で決めることができる。
それが勉強会だとしても研修だとしても会議であっても、始まってからその内容をアレンジしたり調整したりすることもそんなに難しくはない。

逆に数十人から数百人の参加者がいるものであれば、数人の遅刻や不出席は想定しておくべきものだし、全体の利益を考えれば割合の小さな者らのためにスケジュールや内容を動かさないほうがいいのは明らかだろう。

これらの考え方や判断はその場が無料であっても、有料のものであってもあまり変わらない。

集まりの参加者の遅刻者をどう扱うかというのは、集まり全体の空気にも影響を与えることがある。

例えば、連絡があって「開始から10分ほど遅れます」ということがわかっている参加者がいた場合にどうするか。

待てば良いとは限らない

待つ、としてそのメリットやデメリットはどんなふうに考えられるか。
待つことによって会全体のタイムスケジュールが狂うわけだ。
プログラムに柔軟性が少ない場合には悪影響は無視できないかもしれない。
待っている他の参加者としても好意的に余裕を持って同調してくれる人もいるだろうが、自分の成果が損なわれるからと眉をひそめて主催者や遅刻者に悪い感情を持つ人もいるかもしれない。

遅刻者も単純に待ってくれることを感謝するとも限らない。
それはもちろん、自分のことを待っていてくれるというのはありがたいことでもあるだろうが、一方で「他人を待たせる」ということに大きな負担を感じる人も多い。

このように考えると、良かれと思って運営したことが、場合によっては誰の−参加者にも、遅刻者にも、主催側にも−得にもならないということは十分にあり得る。

待たない方が公正ではないか

もしも、遅刻や欠席などについては一切関知しないという方針を貫くというのはどうだろうか。

あらかじめそう決めておけば、判断に迷いやブレがなくなり、とても運営としては楽になるかもしれない。

一方で、参加者は「時間に間に合わない本人に責任があるのだから仕方ない」「少しだけ遅れるのがわかっているのならば自分は待っていてもいいのだけど」「自分も遅れたりしたらやっぱりまずいな」など様々に考える。
遅れる人も「途中参加だと何か理解がズレてしまわないか」「一日何か引け目を感じる」など色々思うかもしれない。

決めごとや運営をかっちりと守ることは会全体にも良い緊張感を与える。
繰り返すとこれも、無料や有料とは関係ない部分がある。
少なくともその場に居る人間にとっては、時間という貴重な資源を注いでいるのだから、それを無駄に扱う、あるいはそういう印象を出すことは控えるほうが良い。

遅刻も良い素材やテーマになる

1人または一部の人の遅刻という小さなイベント・トラブルで考えるのはここまでに書いたようなことだ。
実際のところどのように扱うのが良いか。

私であれば、原則として「待たない」派だ。
グループ内の少数の遅れやトラブルで多数の人間の、特に時間という有限な要素が損なわれるというのはどうしても避けたい。
これは、私の立ち位置が参加者であれ、主催側であれ、さらには遅刻者であってもそれほど変わらない。
ただ、それだけではなんとも工夫や面白みが少ない。

そこで、遅れてくる参加者がいれば、その人が到着した時点で、そこまでの会の内容の復習や要約をしてみるといい。
そして、要約をするのであれば、それを参加者にやってもらう。
これは、会のテーマがカウンセリングであれば特に、そうでなくてもたいていの勉強、学び的なものであれば、とても学習効果がある。

話を聞いたり、しゃべったり、議論したりして、その場で知的な快感を感じることだけが大事で、その内容をどう活用しようということがあまり受容でない会やテーマであれば復習や要約はあまり必要ない。
一時的なエンターテイメント性を追求することは悪いことではない。

しかし、せっかくそこに良い素材になるイベントがあったのであればそれを活用しない手はない。
それがライブとしての勉強会やセミナーの楽しいところだ。

この、参加者自身が別の参加者に教えるというやり方は、実践を目指す訓練や教育にとってはとてもいい。
OJTの手前の段階のトレーニングとしてはロールプレイやふりかえりと同じような価値がある。

研修やセミナーが2日間以上にわたっておこなわれるとき、そしてその期間をフルに参加できない(途中参加する)ような人がいるときは、使い方によっては全員かつ全体により効果をもたらすことができる。

このような柔らかい運営をするには、スケジュールに余裕の時間をあらかじめとっておくことが必要だ。
そしてその使い方をあの手この手で想定しておいたり、緊張の少ない場面で試しておくと良い。

2012-01-15 11:00

(読んでいる本でちょうどいい内容があったので引用して追記しておく 2012-01-24 11:00)

 カウンセリング研究会で私が講義しているとき、途中から入室した遅刻者は教室のうしろで、もじもじおどおどしたかっこうで席をさがしている。受講生のひとりが手招きして空席を示すことがある。その瞬間をとらえて、「今のあれがカウンセリングです。困っている人を助けるとはああいうことです。部屋のなかの一対一の面接だけがカウンセリングではない」と、私はすかさずコメントする。ああいうことのできる人間になるのがこの研究会のひとつの目標であると私はいいたいのである。

– リーダーシップの心理学、国分康孝、講談社現代新書 0725、1984、p.50

リーダーシップの心理学 (講談社現代新書 (725))
国分 康孝
講談社
売り上げランキング: 147365
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください