ふりかえりだけでは後手後手になる

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セミナーを開催したときも、危機介入活動をしたときも、仲間内では必ず「ふりかえり」をするようにしている。
「ふりかえり」とは要するに反省会だ。

反省会とは言っても、ミスや改善点を指摘しあったりするだけではなく、良かった点やうまくできた強みの部分を確認し合うなどして今後の活動に向けてのモチベーションを高めるという目的も持っている。
そして、その対象は複数人のチームとしてのものと各個人ごとのもの、両方について皆で行う。

キチンとした組織や会社などであれば、こういった改善・検証のシステムはかっちりと決まっているのではないかと思う。
しかし、営利を最優先目標にしていない活動や、私的な集まり、色々な背景を持つ者が一時的に集まってチームスタッフになるような場合には、時間や場所の制約があったりなどして、この当たり前のような機会が持てないことも多い。

ふりかえりをすることの効用については、科学的ではないものの、疑うところはない。良いシステムだと思っている。
けれども、それさえやっていれば心配なく成長していくことができるとか、間違いが減るというものでもない。
ふりかえりシステムにも弱点や不得意なテーマというものがある。

なにかしらの活動を終えてから、ふりかえりをするとして、まず先ほども書いたように、時間が少ないという問題がある。
キッチリと時間を取ることを予定に入れていたとしても、本編である活動が長引いてズレこむこともある。
時間と併せて、スタッフだけで落ち着いて静かに話しあう場所が確保できないかもしれない。

また、順番として最後時間の活動であるから、スタッフが疲れている(はず)という条件もある。
個人の都合で、早いタイミングでもう離脱をしていて、ふりかえりに参加できない人間も出てくることがありうる。

こうした制約を考えてみると、ふりかえりの特徴としてはその中で新しいアイデアやチャレンジが生まれにくいというものがあるのではないかと思っている。
もちろん、良い考えや発想がまったく浮かばないとまでは言えない。
しかし、そういうものが出てきたとしても、協力して深めたり、具体化したり、計画を立てたり、流れを作ってスタートさせたりするまでの段階に到達しにくい。
参加者は時間が少なく、疲労しているからだ。

一つの傾向として、会議などで新しいアイデアが出る条件としては、「インプットが十分にされ時間をかけて考えぬいた」「疲れていない、あるいは心身ともに休めた直後というタイミング」などがある。
しかし、ふりかえりではこれらの条件を満たしにくい。

ふりかえりは、イベント終了後、緊張をほぐして、チームスタッフ間のコミュニケーションを確認して深めたり、各個人の頭と身体の両方のケアを互いにしたりするのには最適の方法の一つだろう。
だが、その場で出たアイデアや新しいテーマ、改善点などをそれぞれが持ち帰っても別々に活用したり、スキルアップの素材にすることはできるだろうが、組織的かつある程度の期間にわたって活動の母体を改善したり変化させていくのにはそれほど向いていないのかもしれない。

変革のためには、その目的を、「ふりかえり」という過去に向いた反省などではなく、未来に視点を向け絞った話し合いや発想の場がないといけない。

2012-01-08 11:00

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