人は事例が好きだ。
自分が学んでいることの知識や仕組み、法的な制約や科学的根拠などを知ることは、その内容にライブ感を感じることができなければ、一部の人にとっては難しい。
ところが、事例にはストーリー性があるから始まりと終わりの区分がある程度はっきりしていることが多い。
よって、一つの塊として把握しやすいのだ。
人が歴史を好むとか、歴史から学ぼうとするのも同じことだ。
歴史を好むとか歴史から学ぶというのは、別に古い過去の事実が好きだというだけではなく、そこから現在や未来に役立つような教訓や法則を見つけられると考えるからだろう。
カウンセリングについて、歴史やら、心理学的理論体系、医学的データや根拠などを学ぶのが好きな人も少ない。
皆が皆、その方向を向いていたら、現場の人が減り、多くが学者や教育者、研究者になってしまう。
現場を知っている人ほど、事例を好む。
筋道がわかり、把握できると、人はそこから何かを学んだつもりになれる。
しかし、実際に現在や未来の現場に、学んだことを活用できるかはわからない。
確率的にはとても低いだろう。
実際のところ、事例からわかること、学べたことを、自らの次の現場にはっきりと適用できることは少ない。
それは単なる知識や実験データをそのまま使えないことと違いがない。
事例について理解することと、そこから学ぶことはまった別の次元、段階であることを知っておくと良い。
2011-11-11 09:00
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