レクチャー型学習とコーチング型学習

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教育やノウハウ伝授の方法としては、一から丸々教えるやり方と、アドバイスはするが基本的には当人が試行錯誤しながら学んでいくやり方がある。
実際には、教える者の100%コピー人間をつくるわけではないし、「アドバイスだけをして、決して答えを教えない」とか「先達の知を利用しない」というわけでもないから、この二つを完全に分けて考えたり実行したりすることはできない。
ハイブリッド(かけ合わせ)になるのが通常だ。
ただ、ここでは「教える」やり方を「レクチャー型」とし、「学ばせる」やり方を「コーチング型」とする。

おそらく、学ぶテーマや内容について、初級者であればレクチャー型の方がとっつきやすいしウケるだろう。
とっつきやすさ、ウケというのは大事だ。
モチベーションが湧かなければ、そもそもそれが存在しなければ「学習」という現象は始まらない。
しかし、中長期的には、学習するテーマに対して、過去の知見を「疑う力」や教わったことをそのまま出して満足するのではない「応用力」、自分ひとりでも「考える力」、プロとしてクライアントや後輩に「アウトプットする力」は育ちにくいし、潜在している能力を却って弱らせる。

この挙げたいくつかの「力」のうち、「アウトプットする力」は特に重要だと思っている。
ただ学んで、自分自身が変化することを目標にするならば、本を読んだり講義を聞いたりして「なるほど」と感動しているだけでもいいからだ。
しかし、実践的に世の中や他人に影響を与えたいならば、インプットだけでなくアウトプットにも力を入れなくてはいけない。
それを進めるには「コーチング型」の方が良いのだろう。

ただし、大まかな印象としてコーチング型学習は日本であまり普及していない。
特に基礎教育や純粋な学問の分野ではその部分が不足しているように感じる。
実践が求められるビジネスやプロの弱肉強食的な場所ではそれこそ良いもの、良さそうなものはとにかく早く導入され試行錯誤している。
そうでないと生き残れないからだ。

「レクチャー型」と「コーチング型」はどちらが良いとか、優れているというものではない。
その時点その時点で良い所取りをしながら学習するのが理想だ。
良い所取りをうまくするには、学ぶ内容が「基礎的な、知っていることがまず重要なもの」なのか「実践としての応用が必要で、主に結果が評価される」ものなのかを常に考えなくてはいけないだろう。
そして、教える者と教わる者がそれぞれに、その時点で「レクチャ」をしているのか「コーチング」状態なのかも考えコントロールすることが必要だ。

2011-09-16 12:00

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