前回のエントリ(会話は聞き手の反応が8割 – コミュニケーションとカウンセリング その1 | deathhacks)で、コミュニケーションでやり取りされているものに「情報」があると書きました。
これらを駆使して、聞き手は「話を聞いている」こと、「話が面白い、興味深い」こと、「役に立つ情報を聞いて感謝している」ことなどを話し手に伝えることを目指す。
IT (information technology; 情報技術)をICT (information communication technology; 情報コミュニケーション技術)と言い換えることがあります。
これは「情報」と「コミュニケーション」の関係が深いことを表しています。
コミュニケーションの目的はお互いの情報を交換することです。
食べ物がどこにあるとか、今どんな事件が起きているか、どこで売っている物が安いとか、自分が今していることや関心を持っていることは何かなど、情報には色々なものがあるでしょう。
これらの情報を交換したくなるようなしくみが人間には備わっています。
それは気持ちや感情です。
情報の出し手(話し手)にしてみれば、情報を出すこと(話すこと)によって、聞き手から感謝されたり(情報に価値があったということ)、聞き手が驚いたり(新しい情報を出して好奇心を刺激したということ)、質問をされたり(情報が興味深いことを示す、あるいは付加価値のきっかけ)ということはそれだけでも、話す理由になるのです。
これを聞き手から見るとどうなるでしょうか。
情報を得るためには、代わりに何かを話し手に渡すのが良いでしょう。
その一つが反応・リアクションです。
リアクションと言っても基本的なものは難しくなく、普段私たちが日常の会話やコミュニケーションの中でしているものです。
相手の話に興味を持つ、驚く、質問をする、いい情報に対してはありがとうと言う、などがそうです。
聞き手側がコミュニケーションを上手にする工夫をするとすれば、これらの反応をタイミングよく、話し手に伝わるように表現することが大事になります。
そもそも情報は一人で持っている場合と多数で共有するのとではその量や価値に大きな差が生じるものです。
ただの数字やデータは情報ではありません。
そこになんらかの意味や価値判断が加わって初めて「情報」になります。
意味や価値というものは現代社会では一人でつくることには限界があります。
より多くの人に好まれ、欲しがられ、ほめられてこそ価値が高まるという傾向があります。
原則として、情報は出して他人と交換しなければ価値が出現せず、また交換されることで新たな内容に書き換えられ、更新されてより価値を増やしたりということが繰り返され、最終的には人類全体の共有知になるという過程を踏むこともあります。
現代社会の経済活動の中では情報に値段がつけられてやり取りされています。
しかし日常の会話、コミュニケーションで話し手が聞き手からお金を取ることはしないでしょう。
では、人はなぜ経済的に得するわけでもないのに、情報交換をする、コミュニケーションをしたくなってしまうのか。
そこには気持ちや感情の上での反応や損得(当人は通常意識していないけれども)があるのです。
2011-04-12 07:00
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