オープン・クエスチョンは、あいまいな質問とは違う

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カウンセリング内における質問を、クローズド・クエスチョン(閉じられた質問)とオープン・クエスチョン(開かれた質問)とに分けて説明・教育することは多い。

クローズド・クエスチョンとは、「はい」か「いいえ」で答えられる、あるいは限定的単語や文章・事実の返答で完結・終了するような質問のことだ。

例えば、以下のような感じ。
※COはカウンセラー、CLはクライアントを指す(以下同じ)

(例)CO「何か困っていることがあるんですか」→CL「はい、そうなんです」
(例)CO「あなたの職場での仕事は何ですか」→CL「営業を担当しています」

やり取りの内容が限定されるため、話が発展しにくい面があるが、複雑な思考ができない、またはしたくないような状況・関係であれば質問される者にとって負担が少ないという利点がある。
クローズド・クエスチョンの連続やその比率が高いやり取りでは、クライアントが尋問・詰問を受けているような印象、カウンセラーが自分の都合で知りたい情報を一方的に得ようとしている感じが強くなるかもしれない。
つまり、その場におけるクライアントの自由度が低くなる。

対して、オープン・クエスチョンはクライアントがどのように返答・反応するかに自由さが高い。

(例)CO「この1週間はどんな風に過ごしましたか」→CL「仕事は忙しかったのですが、家ではのんびりするようにしていました」
(例)CO「その方とあなたはどんな関係なのか話してもらえますか」→CL「知り合ったのは数年前なのですけれど、最近になってから趣味を通じてとても親しくなっています」

話をどの方向に持っていくか、クライアントからみて自由度が高いから、自然とクライアントが大事だと思っている内容が出てくる可能性は高い。
しかし、これは逆に言えば、クライアントに心理的抵抗があることは意識的・無意識的に出にくくなるかもしれない。

注意することとして、オープン・クエスチョンについて説明するときに、「あいまい」過ぎる質問を例として示してしまわないように。

(例)CO「最近は、どうですか」→CL「どう、というと、仕事のことと家のこととどっちの話をした方がいいですかね」

あまりに自由な答え方ができる質問は、かえってクライアントの戸惑いや混乱をもたらす場合もある。

クローズド・クエスチョンとオープン・クエスチョンとはどちらが優れているとか、ある場面で一方だけが適切というものではない。
教育や振り返りなどで事細かにどちらかに分類して評価するものでもないということは頭に入れて自分や被教育者、クライアントにプラスになるような説明をしよう。
質問個々をカウンセリングの流れや文脈を無視して論じるのは不適当だったり危険だったりもする。
カウンセラーが発しクライアントが受け取る「メッセージ」に気をかける、部分と全体に対する視点を行きつ戻りつする、なども大事だ。

2011-04-01 08:00

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