多数決で勉強会はまわらない

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ある分野について、単純に知識を詰め込むのではなく、体系的にアウトプットできるようにトレーニングするためには、複数の有志が集まって勉強会をするのが有効です。
ただし勉強会を有益なものにするためにはその運営に工夫が必要です。その工夫のひとつとしてオススメするのは「多数決の排除」と「コーチの採用」です。

勉強会のやり方や内容については多数決で決めることが多いのではないでしょうか。
しかし、もしその勉強会のテーマについてメンバーがまだまだ未熟であるならば、会合ごとに何をどのように学ぶかに知恵を絞っても、的外れだったり、浅いレベルに留まってしまったりするのが関の山です。多数決は近代の民主国家や組織の多くで採用されますが、あらゆる場合に使おうとすると衆愚を招きます。
似たり寄ったりの低いレベルの者が集まって相談しただけでは「勉強」にはならず単なる「同好」会になってしまうでしょう。

ですからしっかりとした信頼のおける、知識と技術を備えた「コーチ」役を手配できるかが勉強会の効果を決める鍵と言えます。もちろんこのコーチは常に同じ人物ではなくてもいいわけです。音楽ユニットでゲストミュージシャンを迎えるような感覚で都度調整するのもいいでしょう。
代わりに勉強会のメンバーの中にコーディネーターまたはファシリテーターと呼ばれるような、場所の設定、連絡などを担う調整役を置いて運営します。
多数決という一見公平で最適だと錯覚することが多い仕組みを盲信すると、勉強会の日程や時間ですらまとまらないのがオチとなり得ます。

もちろん勉強会に関する決定で、話し合いを完全に否定しているのではありません。メンバーから調整役やコーチへ意見や要望を出すのは積極的した方がよいでしょう。
勉強会それ自体はメンバー全員の共通財産なのですが、だからといって各人の意見がメンバー数を分母とした分だけの力を持って採用されるのではないというだけです。
場合によってはメンバー全員が要望してもそれを採用しないでコーチの決定を優先するくらいのことをあらかじめ皆が了解しておきましょう。

「多数決の排除」や「コーチの採用」は何のことはない、一般の教育と同じことです。義務教育や大学で、教育内容の枠について学生に一々希望をとって多数決をしたりはしないでしょう。お互いに教え合う、学び合うというスタイルの効果も否定はしませんがよく検討する必要があります。

このように考えると勉強会には、そのテーマによって違うと思いますが、企業や組織と同じく、適切な人数規模というものがあるのでしょう。人数という規格も慎重に扱った方がいいということを付け加えておきます。

2010-04-20 7a.m.

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