トムラウシ山遭難に見る医学・社会・心理

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トムラウシ山遭難の分析本を読み始めた。

トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか (ヤマケイ文庫)
羽根田治 飯田肇 金田正樹 山本正嘉
山と渓谷社
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まだ、第1章の当日経過をザッと読んだだけだが、いくつか考えたことなどをメモ。

遭難の原因となった要素として私が注目するのは3つ。

  1. 低体温症、その予防のための濡れへの対策不足
  2. ガイド同士、さらにそこから参加者へのコミュニケーションの不足
  3. 慢性に進行・悪化した自然環境と体調

低体温症については、ガイドも参加者も知らないことはないはずの中級から上級者というパーティだった。
だが、それを上回る状況が発生したということ。
これを想定外と考えるか、管理上の不備ととらえるかは後からなら何とでも言えてしまうのだが、適切に教訓化しなくてはいけない。

コミュニケーションについては、ピンチやトラブルが起きて初めてその重要性や不足に気づくものだ。
準備や知識がなくては、いくらコミュニケーションが整っていても、状況を良くする根本的な力にはなりにくい。
しかし、こうした事故などの陰の多くには、悪循環を断ち切れない連鎖をコミュニケーション不足がもたらしている。

自然環境や体調については、運が絡む。
急激な変化であれば、対応の決心はしやすいのではないか。
じわじわと悪化したからこそ、判断が遅れるという事例は多い。
外部の目やシステムとしての判断があるか否かが分かれ目となる。
これはあらゆる事故や失敗に通じる考え方だろう。

この遭難事故に、どのような細部があったか、学ぶべきは何か、亡くなった者と生還した者にどのような心理的反応があったかどうかなどは、読み進めば知ることができるかもしれない。

2012-09-12 09:00

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