結局答えは現場にあるし、現場からしか学べないのだけども、今の自分には、自分の知識や技術のうち、どの部分が直に教わったもので、どれを現場で悟り、何を本などで学習したのか定かではない。
これから、惨事ポストベンションや、トラウマケアなどを現場でやっていこうという人に、自分が一から責任を持って教えることはできるが、どこから始めていいかやはり確とは言えない不十分さと、前提やベース、共通認識として持っておける何かを少しは欲しいと思ってしまう。
そこで以下に紹介する一般書は一読を奨めておこう。
緊急事態ストレス・PTSD対応マニュアル―危機介入技法としてのディブリーフィングposted with amazlet at 12.08.29ジェフリー・T. ミッチェル ジョージ・S. エヴァリー
金剛出版
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→ 惨事ケアの草分け的なミッチェル氏自身がディブリーフィングというツールの有効性を今現在は主張しないようだという言葉を聞くことはある。しかし、現場に近い感覚や意見から考えれば、あらためて検証・検討する意義がある。そうした対応についてはさておき、緊急事態ストレスというものの概観を知るために、共通のスタート地点として多くの事例や知見が含まれている
→ 著者が現場と研究の両者を知っている。そうした学者は、どんな分野でもいてほしいものだが実際にはまれ
消防士を救え!―災害救援者のための惨事ストレス対策講座posted with amazlet at 12.08.29加藤 寛
東京法令出版
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→ こちらも複数の惨事現場にケアと研究の両面で入った経験をもとに記されたもの
まとめ
紹介した本の内容は、主張として必ずしも一致していないものもある。特にディブリーフィングについては。
しかし、それこそ「現場」や、臨床心理というものの難しさ、というか正体の一面だろう。
個別一般のカウンセリングでの対応に、正解というものを見出しにくいのと同じで。
あとは、読んだものを比較しながら、さらに細かな情報や文献・論文などを探していくと良い。
その際、今の時期(さらに今後)であれば、東日本大震災や福島原発事故に関連した報告類が目立つかもしれない。
それらは興味深いし参考になるが、十分な集積や検証を経ているかに注意する。
その点からは過去の情報に立ち返る方が有効と思う。
2012-08-29 07:00
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