カウンセリングで共感のまえに十分話を聞く理由

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以前のエントリを広げてさらに考えてみる。

まず驚き、なるほどと思うことが共感につながる | deathhacks

極端な例を挙げてみる。
クライアントがセッションの開口一番に「実は夫が最近亡くなりまして。。時間が経てば経つほど、悲しくて寂しくてどうにかなってしまいそうな気がして」と切り出したとしよう。
「それはとても悲しいし寂しいですねぇ。。」とそのまま繰り返してどんなに共感してリアクションをしても「嘘っぽい」

それはなぜか。
共感が早過ぎるのだ。
ここでの例ほどまでに、最初のテーマがはっきりとしていて、クライアントが素直にサッと心情を吐露したとしても、容易に食いついてはいけない。

いや、食いついてもいいのだが、そこで「ヨシ! 共感は終了! 次は何を話してくるのかな?」と待機してしまうのが良くない。
最初の反応から、あるいは当座の繰り返し反射の後に、「詳しく話を聞いてもいいですか?」「ご主人はどんな方だったのでしょう」「どんな原因で亡くなったのですか」「周りの方はどういう反応や対応をしている感じですか」などを質問責めにはならないように配慮しながら確認していく作業をまずしよう。
そして、時間もかけ(かかり)十分聞いてからこそ「それはお辛いですね。。」と心底から共感できる確率が高まるし、その共感がさらにクライアントに適切に伝わる。

クライアントからすれば、とりあえずそのまま現在の状況を言ってみたものの、すぐ急に共感されてもウソっぽいし、無視できないくらいのズレが生じる。
カウンセラーの事情を言えば、細かなディテールを聞いてからでないと実際上うまく共感はできない。

ロジャーズなど、旧来の理論に問題があるとすれば、共感や受容といった目標やゴールを適切に示してくれてはいても、そこまでの過程やたどり着く手段、かかる時間や距離などについての説明が不足していたり、後世の人間に強調されて伝わっていないことだろう。
こうした点が考えられていなかったはずはないのだが、カウンセリングやコミュニケーションの初歩教育などにうまく取り入れられていない印象がある。

2012-04-28 09:00

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