教育を時間のみで比較しない

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カウンセラーやストレスマネジメント要員を育成するための教育プログラムはどのように作れば良いか。
期間で言えば、数時間の講義で済ませるものから、実習実技をふんだんに取り入れたもの、数ヶ月から1年、あるいは数年がかりのコースなど様々だ。

現在の傾向としては、行政や企業などが人材を育成して成果や実績をはっきりと求めるケースが増えていることだ。
昨今の社会的な自殺対策、健康問題への焦点、そして東日本大震災などから生じている緊張や不安への対応を組織として認識し、あるいは求められていることを受けてのことだろう。

これが、学問としての要求ならば、それほど期間を限定することや育成のスピードは求められはしない。

プロは間違う、学者は正しい | deathhacks

こうした背景の上で、カウンセラーなどの育成プログラムを色々な分野同士、様々な情報や集まりなどで比較しようとするとどうしても時間的な要素にまず注目されがちだ。
「半日でだいたいの知識を身に付けさせてください」とか「1週間まるまる教育対象の人たちを拘束するのは難しいので3日間でなんとかなりませんか」とか「1年も部外の研修コースに行かせて成果があまりなかったらどうしようかな」とかいう悩みを組織の担当者・責任者は抱える。
時間はそのまま金銭・予算、つまり人件費に直結しているシビアな要素だからだ。

しかし、時間という要素はこうした教育プログラムの中で、それのみで議論や吟味できるものではない。
当たり前だが、その内容と相関する。
要は、教育プログラムの時間的長短ではなく、その効率に注目するべきだ。
効率的な教育や人材育成をしている組織の特徴はその時間資源・人件費の豊富さではなく、取捨選択の的確さだ。

人を育てるためには時間が必要だが、時間がいくらあっても人が育つとは限らない。
教育では時間が限られているのだから、出来る限り内容を絞るべきだ。
当たり前のことを言っているようだが、カウンセリングやメンタルヘルスの現場を知らないと、このことを意識できない。
あれもこれもと内容を詰め込んで欲張ろうとする。

これは現場での運用にも当てはまる。
少数の人材に業務や期待を割り振り過ぎてその能力と成果を見誤る。

限られた時間で、どのような対象人物に、どれくらいの人数に、どんな知識と技術を伝え、どういう風に現場で運用するかという一連の戦略が必要だ。
それなくして、時間の長短や、個人ごとの元々持っている性質という細部ばかりを見ていては成果の総量は上がらない。

2011-11-24 09:00

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