カウンセラーは「診断」してもいい、「うつが治る」と言っていい

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カウンセリングの初級者が悩むテーマの一つに、クライアントのことを「うつ」だとか「うつ状態」だとか判断・診断していいのか、さらにはそれをクライアントに伝えていいのかというものがある。
あるいは、うつの人に「きっと治りますよ」などと言ってしまっていいのかという葛藤を抱える人もいるだろう。

私の結論としては、診断したり、治るという見通しを伝えてもいい。

医師や医療関係者は、「診断をすること」について、医師法17条の「医業」にあたるのだから無資格者がそんなことをしてはいけないと言うかもしれない。
しかし、日常では、まったくの素人が知り合いや家族同士で「熱っぽいなら風邪じゃない? だるそうだし」とか「下痢をして胃も痛いなら胃腸炎かもしれないね」という会話や判断をしているではないか。
あとは、カウンセリングという場でそういったやり取りをしたとして、カウンセリングそのものが継続・反復の意志がある業だとして、その場で「医業」に近い判断をしていいのかという部分が焦点になる。

だが、診断というものは決してそれ単独で意味を持つものではない、原則としてそれに引き続く治療や検査、処方などがあって、初めて医業と見なされる。
このことはすでに過去に私個人は厚生労働省に問い合せて確認している。少なくとも、ある個別の発言やアドバイス、診断がただちに医師法第17条にを侵すものではないと。

逆にあいまいなことを言ったり、名言を避け続けて、クライアントを不安にさせたり、うつでないことを強く説明してしまって医療や次の手段を取ることを遅らせたりそのチャンスを奪ったりする方が怖いし、クライアントの不利益になる。
間違ってほしくないのは、もし仮にカウンセラーが「うつを診断した」としても、正式に診断されたり医療を利用したりするまでには必ずキチンとした医師のフィルタがかかるということだ。

うつが治ると言っていいのか、というのも同じように、クライアント側の利益を考えている。
治らないかもしれません、と言って元気がでる、喜ぶ、というケースはとても少ないだろう。
治ると言ってはいけないのではないか、という考えの背景のほとんどはカウンセラー側の価値観や偏見、あるいは言ったことに責任を取らなくてはいけなくなるという負担感が原因だ。

確かに、単純にどんなケースやどんなクライアントに対しても「治る」ということが適切だとは言わない。
世の中と同じように、すべてはファジーだ。
数年来苦しんだようなうつが、若いときのそのクライアントの最盛期や絶頂期と同じような感覚にまで回復するかと言えばなかなかそこまでは望めない。
「今より良くなります」というくらいの説明が適切なことも多い。
うつの苦しさや見通しはその個人(クライアント)の価値観や何を幸せと思うか、何に人生の価値を見出すかによってもかなり異なる。
この部分はカウンセリングを通じて、教えてもらい、何を目標とするのか、しているのかを共有する必要があるだろう。
美容整形と同じく定義がズレていると悲劇を生む。
何を「美しい」と考えるかと同じくらい何をもって「治った」ととらえるかは違ってくる。

2011-07-25 09:00

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