メッセージコントロールのトレーニングに鏡を使う意義

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カウンセリングの基礎として「メッセージコントロール」を教えている。
カウンセリングはただ単にフンフンとクライアントの話を聞いていればうまくいくというものではない。
(うまくいくことも、もちろんある)
カウンセラーが適切に「メッセージ」を出さなければクライアントとの間に適切なリレーションは生まれない。

メッセージコントロールのツールにはいくつかある。
うなずき、表情、質問、要約、間、アドバイスなどだ。
このうち「表情」をトレーニングするのに鏡(手鏡)を利用してもらっている。
なにしろまず、自分がどんな顔をしているか、クライアントが見ているものは何か、それがどんな印象を与えるかを知らなくては話は始まらない。
スポーツと一緒で自分がどんなプレーをしているかの現状認識をすることは大切だ。

このとき鏡の大きさは重要だ。
ただ「鏡を用意してください」とだけ言うと手のひらくらいの大きさの鏡を持ってくることが多い。
女性ならば化粧用で携帯できる大きさのコンパクトミラーなど。
しかし、この大きさでは適切なトレーニング、現状認識はできない。

なぜか。
小さい鏡だと、自分の顔全体を見ようとしたとき相当に近づけ、覗き込まなくてはいけなくなるから。
顔の一部分を確認したり、簡易に化粧をしたりする目的ならいいが、メッセージコントロールにおける表情や全体の印象を見るためにはこれではダメだ。
目安、理想としては概ね、一般的な会話(カウンセリング)でカウンセラーとクライアント互いの距離の半分の距離に鏡を置いて顔全体が映る大きさということになる。
つまりこの条件で見える自分の顔や表情をクライアントは見ているということになるからだ。

人間の目や頭は視覚的な環境やゆがみに対して、平常では驚くほどうまく適応している。
しかし実際はある対象に顔を近づけて見ようとすれば、視野が狭くなるし、目に映る映像は遠近法的に不自然(普通の会話の距離と比べて)になる。
カメラで景色や人を写し取ってみると、思いのほかデフォルメされているように記録されてしまったり、画角が気になってしまったりするようなことはある。
それと同じことだ。

鏡だけでなく、他人から見た印象を聞く、ビデオを使ってみる、姿見くらいの大きさの鏡を使ってみる、iPad2で録画してみるなど、できる限り、「自分がそうだと思っている自分」と「他人(クライアント)が見ている自分」のビジュアルを近づけておく訓練は必要であり、有効だ。

2011-05-26 10:00

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