地震から25日が過ぎて – 今から被災地にメンタルサポートに行くならば

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2011年3月11日に東北地方太平洋沖地震が発生し、東日本大震災が始まってから25日間が経った。
被害の大きさと広さ、福島原発の事故などを含めた複雑さから、全体を総括して語るのは難しい。
被災現場からは情報が届きにくい。被災現場へは資源・支援が届きにくい。

そんな状況の中でも、待ったなしのさまざまなリスクは進行している。
メンタルヘルスで言えば、直接の被災者への心理的な衝撃や疲労に引き続いて、救援・行政・支援・医療を担う層やチームの疲労やショックがかさんできているのではないかと思う。

急性期に動いた(動けた)組織や団体に続き、これから増援していこうとしているものが出てきている。
後から向かう者には、現場の情報が不足しているかもしれないが、準備する時間や資源がある。
そういった時間や資源は有益だ。

メンタルヘルス面でも色々な団体・組織が動いている。
現時点で直接に現場で支援をするというのだけでなく、過去の知見や経験を積極的に再取得・探索して数多く紹介されている。
(今の情報公開を支えている他の分野と同じくWebサイトやブログなどが活用されているのを主に目にする)
しかし、その知識や情報を利用するのにも注意が必要になる。

多くの研究や資料には、確かに大事なことが書いてある。
なるほどと思うし、勉強になる。
しかし例えば、これから被災の現場に行くとして、被災者心理やサバイバーの気持ち、グリーフの仕組みなどについてだけ熟知していても足りない。
やるべきこと、やってはいけないこと、などは机上の論理や科学としては分析されてきているが、実際に現場でどのように使い、どのように成果につなげていけばいいかの部分は不足している。
被災者や支援者に対応したときに、心理的サポートとしては、体験や思考、気持ちを表現することを奨めた方がいいのか、抑えた方がいいのかという、とても基本的なよくある事態にすら統制された権威ある解答はまだない。
未だ、個別に思考と感情の背景をうまく考えて対処していくしかない。

過去の事件や災害で得られた知見はいくつかある。
そういったデータや研究は、確かに知っていても良い。
しかし多分、それらの一番有効な使い途は心理面の支援者またはカウンセラーなどの側の安心用のツールである。
被支援者やクライアントにしてみれば「大変でしたね」という支援や言葉をありがたく思うこともあるだろうが。
「大変な災害だったから辛いですね」とか「悲しさっていうのは長く続きますがいつか癒えますよ」とか「これこれの割合で医療などが必要になってくるかもしれないから気をつけましょう」というように、具体的なアクションを伴わない、あるいは提供しないサポートは逆に嫌われるかもしれない。

今から現場に行くとしても、まだまだ心理面の支援者やらカウンセラーやらとして「だけ」入るのは難しい。
衣・食・住などの生活環境がまだ回復していない当事者にも、もちろん心理的ケアは必要だろう。
しかし、それがどれくらい優先度が高いかということにはさまざまな要素を加味しなくてはわからない。
それこそ話をしようとしても、まず「水を飲みたい」「温かいものが食べたい」「風呂に入りたい」「ゆっくり眠りたい」「酒とタバコが欲しい」「子どもを遊ばせてやりたい」などのような当然の欲求がはじめに出てくることも多いのではないだろうか。
そんなときに「わたし(我々)は気持ちのサポート(だけ)に来ました」とは言えないだろう。
そんな状況への物心両面その他の準備が必要そう。
理想論だが、まず身近なこと、身辺の基本的生活に密着したことからはじめていくのが良さそうだ。

2011-04-05 07:00

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