メンタルヘルスの教育をするときに最終顧客を見すえる

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メンタルレスキュー協会(NPO法人) http://www.mentalrescue.org/ という団体に携わっています。
うつや悩みを抱えた個人や惨事後の集団に対するケアなどを直接に提供していた者たちが集まって、今度はそのケアができる人間を増やしていこうと、体系的にノウハウを教育・普及・レベル認定する事業をするための団体です。

直接にケアをすることとケア提供者を教育・育成することの違いを考えています。
教育をする場合には、その教育を受けた人間が次にはケアをするわけです。
それが意味すること、責任は限定的ですが、重大です。
協会が持っているノウハウや技術を身につけているかどうかを判定し、コントロールするために、教育以外に、レベルの「認定」も行っています。

認定の基準は協会事業の「生命線」だと思っています。
認定する技術レベルを下げれば、より早く合格者、「協会が認めた技術者」を増やすことはできます。
認定を厳しくすれば、見た目、人数としてはなかなか「協会のノウハウ」は普及しないということになります。

このとき、注目するべきなのは「最終顧客」だと思います。
どこをターゲットにするかで認定の基準や協会の戦略が変わってきます。
教育や認定を受ける人をターゲットにするならば、その人たちがもっとも満足するようなやり方が必要になります。
決して安くはない金額を費やして教育と認定に挑んで不合格になれば気分が良くはありませんし不満が大きいとしてもうなずけます。

しかし私個人は「最終顧客」はうつやメンタルヘルス不全の人たち、悩む人や惨事後に混乱・困惑している人たちだと思っています。
そう考えると、本当は微妙な判定であるのに、技術的に不足がある人を認定、合格とすることはとてもリスクが高いと思うのです。
いったん認定してしまえば今度はその人たちが協会の「顔」となってサービスを提供する可能性があるからです。
そのときに却ってケア対象者や集団に害をなしてしまうことになる可能性は下げたい、可能な限りはコントロールした方が良いと考えています。

営利企業であれば重視するのは、実際にお金を払う人かもしれません。
ビジネスとしてはお金を払う人が増え、満足してくれることだけを考えればいいのでしょう。
でも、メンタルレスキュー協会は非営利団体ですし、設立理念は学術的なメンタルヘルス研究や趣味性の強いカルチャーセミナーではないはずです。

人間は2人いれば「社会」をつくりますし、考え方が完全に一致することはありません。より人数の多い団体や協会ではなおさら方針を決めることに難しい面があります。
しかし、喩えて言うならば、どんなに素晴らしい技術やノウハウ、志や理念を持っていたとしても「味をいったん、目先の利益や適切でない客層に合わせて変えてしまったレストランが、あとから元の味に戻すということは相当に難しい」のではないかと個人的に心配します。

2010-06-15 7a.m.

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