カウンセリングを始める前に、カウンセラーがクライアントに最低限説明しておきたい内容というものがあります。
本題に入る前のマクラのようなもので、そのことを「場面構成」と言います。
場面構成には互いの名前の紹介くらいは入っていることが多いでしょう。
クライアントが慌てていたり、怒っていたり、急いでいるようなときに、カウンセラーが悠長に自己開示や契約としてのルールを説明していてはいけません。
場面構成をできるだけ短い時間で済ませ、まずある程度クライアントが話したいように話してもらい、表現欲求が満たされてから、カウンセリング全体をまとめていけばよいのです。
カウンセラー初級者は、訓練と同じように最初に型にはまった説明をした方が自分自身が慌てませんし、その方がメリットが大きいかもしれませんが、その場の状況と考えられるデメリット次第で対応するのが望ましいでしょう。
相当に焦って、感情が高ぶっているクライアントに対しても3秒以内でひとこと伝えるくらいの間合いは取れるのではないでしょうか。
そして、その3秒でカウンセリングの場面構成をしてしまうセリフとは次のようなものです。
「何を話してもいいよ。あなたの味方になって、秘密は守るよ」
句読点ごとに解説します。
"何を話してもいいよ"
クライエント中心療法的な説明です。話題、テーマの決定権をクライエントにまずは委ねています。暗には”話さなくてもいい”ということも含みます。
"あなたの味方になって"
カウンセラーが、クライエントを攻撃しないことの説明です。
"秘密は守るよ"
カウンセリング内容についての守秘はカウンセラー-クライエント関係についての重要な倫理規範・契約のひとつですから、場面構成のセリフにぜひ入れておきたいものです。
このひとことの特徴は他に次のようなものが挙げられます。
実際に、3秒で話すことができます。句読点ごとに1秒かけてOKです
ごく短時間で適当にカウンセリングの説明をして、導入するためのトークです
最初にカウンセラーが長々としゃべりたくない場合、クライエントに主導権を持ってもらいたい場合に使えます
カウンセリングの場面構成として必要十分な内容を、できるだけ短い文章に入れました
注意
このセリフ・内容はカウンセリングの最初に、場面構成の目的で一回だけ話せば良いというわけではありません。むしろクライアントが慣れるまで、クライアントとカウンセラーが適切な関係を築けるまで、何回でも繰り返し用いた方が良いでしょう。
クライアントが、初回初対面のカウンセラーからこのセリフを聞いても、いきなり信用されることは少ないかもしれません。またクライエントの内心や状態によっては、カウンセラーがどんなにゆっくりと落ち着いて場面構成をしたとしても実感を持って理解されるとのを期待するのは危険です。
まとめ
この「3秒でカウンセリングの場面構成をするセリフ」は、カウンセリングの大まかな決まりごとのようなもの、早い段階で伝えるに越したことはない内容をできるだけ短くしたものです。
3秒で話し終わりますからクライアントが右から左に聞き逃してしまっても、また繰り返し使えば良いし、説明に使う時間が惜しいという程のことはないはずです。
また逆にクライアントが考えを巡らせて沈黙しているのではなく、話すことを迷っているような状況やうまく話せないことに焦りを感じているような状況では、時間をかけた場面構成をするタイミングととらえて、付け足しをしながらカウンセリングという契約関係を説明してもいいでしょう。
2010-05-03 9a.m.
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